介護施設の入居者に必要以上話しかけてはいけない驚きの理由

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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施設での面会はマナーに気をつける

他の利用者との距離感を保つ

 

施設には多くの利用者が暮らしていますが、家族がいる方ばかりではありません。独身で身寄りがない、家族がいても絶縁状態など、特に特別養護老人ホームには孤独な老後を送っている方の比率が高く感じます。面会も家族が頻繁にくる人、全くこない人に二極化されているようです。

 

施設では、食事の席など定位置が決まっていることがあり、何回か出向くうちに親の隣にいつも座っている人などと顔見知りになることがあります。その方と会話が成立する場合、好意的に話しかけるのは良いのですが、度がすぎないようにしましょう。

 

例えば、その方の家族のことを必要以上に聞く必要はないのです。施設に入っている間に配偶者が亡くなっていたとしても、家族の意向で意図的に伝えていないこともあります。会話がきっかけで思い出し、家族に必要以上に「夫は元気か」と問いはじめたという実話もあります。たわいもない天気や食べ物の話にとどめ、人の生活歴には踏み込まないのが賢明です。

 

施設には多くの利用者が暮らしていますが、家族がいる方ばかりではないという。(※画像はイメージです/PIXTA)
施設には多くの利用者が暮らしていますが、家族がいる方ばかりではないという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

他の利用者へのお裾分け

 

施設によっては、家族からのおやつの差し入れが許されています。同室でいつもお世話になっているからと、お裾分けを安易にしてはいけません。

 

これは病院と一緒です。利用者は見た目では判断がつきにくいのですが、個人ごとに食事や飲料の形状も細かく分かれています。糖質を制限している人もいれば、水分もとろみをつけないと飲み込めない人もいます。施設によっては持ち込みに関するルールもあるので、飲食物を持ち込んだ際は、必ず職員に確認するようにしましょう。

 

また、日頃介護をしていないきょうだいが、たまたま、面会に訪れたときに持参したお土産が事故につながったこともあります。たかがおやつ、されどおやつなのです。

 

金品の持ち込みは最低限にとどめる

 

高齢者はお金に敏感ですが、完璧な貴重品管理はできていません。施設にお札を持ち込む必要があるのなら、事務所に預かってもらえるかの確認をしてください。私は介護相談員として定期的に施設訪問をしていますが、お金がなくなった、時計をとられた、ダイヤモンドの指輪がなくなったなど、個別に苦情がらみの相談を受けます。

 

その話は本当かもしれないし、勘違いかもしれない。実際のところわからないのです。金品は必要な金額以外は持ち込まないのが正解です。多床室はもちろんですが、個室もいつ誰が入ってきてもおかしくない状況です。施設はホテルや病院ではないので、部屋の中に貴重品入れはないと思ってください。

 

施設内で開催される臨時のお店屋さん

 

施設によっては、定期的に洋服や食べ物などが購入できる臨時ショップが開催されることがあります。女性は特に楽しみにしている方が多いと聞きます。ですが、嬉しくてあれもこれもほしくなり予定外に多くの買い物をしてしまうことがあります。

 

この催しに家族が同席できない場合、洋服は何枚まで購入しても良いのか、予算はいくらまでなのかなど、予め職員に伝えておくと良いでしょう。入居をすると買い物とはほぼ無縁になります。自分でモノを選ぶのは楽しいものです。このような機会があれば、負担にならない範囲で、上手に利用してください。

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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