50代はご自身の体調や周囲の環境の変化により、「実る人」「枯れる人」の分かれ目となる時期です。「実る人」は、自信と余裕であふれています。では、それらはどこから出てくるのでしょう。長年長年人間教育に携わり、稀代のリーダーたちと交わってきた筆者がポイントを解説します。※本連載は松尾一也著『50代から実る人、枯れる人』(海竜社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

50歳を過ぎたら「人の目や評価」を気にしない

【50代から枯れる人=評価ばかり気にする

 

私自身、ずっと人の目を気にして生きてきた気がします。

 

小さい頃、ピアノの家庭教師が自宅に来て、姉と私を教えてくれていました。ある日、練習が終わった後に、母親と先生がお茶を飲みながら談笑しているのを近くで聞いていました。その時、先生が「一也君はなにか違う才能があるんじゃないでしょうか」と言っているのを聞いてすごいショックを受けました。

 

「えっ、ボクはやっぱりダメ?」

 

思うようにピアノが弾けないことは自分でもわかっていましたが、この先生の一言で大きく心が傷つきました。特に若くてキレイな女性の先生だったので悲しさ倍増でした。

 

それ以降、楽器へのコンプレックスが生まれて、なにを弾いても笑われそうな気になります。そんな幼児体験もあり、他人の評価を気にしてしまうタイプでした。

 

時が流れて、私は教育事業を志し、たくさんのセミナーや講演会を企画開催してきました。本来、人前で話すことが好きな性分です。

 

ところが起業して間もないころ、経団連会館に500名の聴衆を集めて、時代の寵児であった人気評論家の竹村健一さんをゲストに大きな講演会を主催した時のことでした。

 

主催者代表の挨拶ということでまず私が壇上に上がり、10分程度のスピーチを始めましたが、いきなり超満員の聴衆にのまれて頭が真っ白になってしまいました。

 

なにをどう話して終えたのかわからないほどのぐじゃぐじゃの挨拶になってしまい、そのまま消えてしまいたい衝動にかられるほどでした。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
主催者代表での挨拶は超満員の聴衆をまえに頭は真っ白に…。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

やはりこれもどこかで常に人の目を気にしすぎていて自爆してしまう気質が顔をのぞかせた出来事でした。

 

幸いこの年齢になってくると、場数もこなし、良くみせようという神経も弱って、ほどよい緊張感のみで講演、研修をこなせるようにはなりました。

 

先日、講演の仕事であの漫才ブームの立役者でもある元B&Bの島田洋七(しまだようしち)さんのお話を聞く機会がありましたが、「若い頃から舞台やTVに出るときにいっちょん緊張せんかった」と語っていました。

 

人の目も気にせずに、自由にパフォーマンスを演じられる、そんな人もいるんですね。

 

とはいえ、多くの人は人の目や評価を気にしすぎて、自分の道を見失いがちになります。最近はSNSで「いいね!」の賞賛を浴びたがる「栄光浴」を求める人が多いと言われています。

 

50歳も過ぎたらもうそろそろ「人の目や評価」を手放していいと思います。

 

ちなみに、どんな人が結果として評価されているかというと、意外なことに人の目や評価を気にせずに自分の流儀を貫いていたり、島田洋七さんではありませんが他人の反応に無頓着(むとんちゃく)な人だったりするわけです。

 

「人の目や評価」を気にするよりも、めいっぱい自分らしさを発揮してみましょう。

 

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