家族の意識次第で施設の評価は決まるもの
入居でやっていけそうかを契約前に判断する
契約前に体験入居やショートステイを利用して、生活リズム、他利用者との相性、昼夜の環境や食事など、可能な限り日数をかけて宿泊してみましょう。いくら素敵な建物でも日頃の様子はわかりにくいもの。宿泊すると様々な角度からの気づきも多いはずです。
また、是非、施設長と話をしてください。目指す施設像などを聞くのも良いでしょう。本当に驚くのですが施設長の考えで取り組みや従業員の行動が違うのです。現実的な話ですが、実はここまでして選んだ施設でも予知できないことがあります。昨今、介護職員による悲しい事件があります。そのときは100%経営母体が変わります。職員も入れ替えになるケースが多く、環境が一気に変わるのです。
経営母体や施設長などトップが代わると良くもなるし悪くなることもあるのです。これは一般企業も同じなのですが、やはり生活の場なので影響が大きいものとなります。
エピソード
施設を選ぶときは、できればぜひ見学に行ってください。入居したらずっと利用し続ける覚悟も必要です。特別な事情がない限り、施設を変えるのは得策ではありません。新築の施設は設備が良いので心を奪われがちです。建物はきれいだし、職員もやる気があるのではと思えてきます。
ですが、ある新施設は開設が延期されていました。理由は、職員が集まらないのです。こういうところは要注意です。食事も可能なら食べてみてください。日本のお米を使っていないところもあります。施設では好きなものを食べられません。別料金ではあってもケーキや、握り寿司を提供する施設などは恵まれています。
こんな話があります。ある施設でそばがメニューで提供されていました。入居者Aさんは、そばが大好物なのにすすることができないのです。それを見た職員は、食べないの、と下げてしまったといいます。これは、入居者の楽しみを奪っています。
施設によっては2階、3階などのフロアによって、掲示物が貼ってあったりなかったりもします。不思議に感じたら理由を遠慮なく聞いてみてください。認知症の方が多いフロアで食べてしまうため、紙や花を置いていない場合があります。施設も人手不足が現実で、食事介助も数人を相手にしています。もっとゆっくり食べさせられないのかと思うこともあるかもしれません。
ですが、ときには割り切りと寄り添いも大切です。「問題があると何回も話し合ってきたがもうくたびれ果てた。長くいると生きていてくれれば良いと思うようになった」というご家族もいました。家族の意識次第で、施設の評価は決まるものなのかもしれません。
渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表
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