安定した入居率を狙うなら予算は1億円必要
物件選びについてだいたいの目処が立ったら、あとは、実際に物件と不動産会社が作成する収支計画書を吟味していきましょう。ただし、決めるといっても大前提として予算がなければ購入できません。
●新築鉄骨造アパート
●新築RC(鉄筋コンクリート)造マンション
●中古鉄骨造アパート
●中古RC(鉄筋コンクリート)造マンション
このなかでもっとも安価なのは中古鉄骨造アパートです。しかし、これでも首都圏の物件で安定した入居率を期待できるレベルの物件なら1億円ほどになります。
中古ワンルームマンションの区分所有ならば2000万円前後で購入可能ですが、中古は入居者に敬遠されがちなため、一括借り上げ契約の条件が悪くなります。また、そもそも2000万円程度の物件を所有していても、本書が目標とする資産10億円への道ははるか彼方。やはり最初から区分所有ではなく一棟を狙うべきです。
医師は年収の20倍前後の資金を銀行融資から引き出せる
一棟を狙う場合には、最低でも1億円の予算は確保しておきたいところですが、いくら高所得なドクターでも、キャッシュで1億円を持っている人は少ないでしょう。しかし、全く問題ありません。実際に筆者のクライアントであるドクターの多くは、1000万円前後の自己資金で不動産運用をはじめているのです。
なぜそのようなことが可能なのか? それは、医師の特性によって年収の20倍前後の資金を銀行から借りることができるからです。
医師という職業は、融資を行う銀行にとって弁護士や会計士と並ぶ最上位の個人属性です。しかも、この最上位という属性の効果は今後さらに高まっていくはずです。なぜなら、一般的なサラリーマンは今後あまり収入が上がらないといわれているからです。
これから日本経済は好景気に向かうと思われますが、それは企業側だけのこと。収益を上げた企業は、経済のグローバル化によって法人税の低い海外に拠点を移していくことも増えていくかもしれません。
日本の法人税率(法定実効税率:約30%)は、世界でもトップクラスの高さだと言われています。一方でシンガポールや台湾など東南アジアは10%台、欧州諸国でも20%台後半が主流です。政府は今後5年以内に6%程度の引き下げを予定していますが、その程度では企業の日本離れは止められないでしょう。
そのため、日本企業は海外へ資本を投入し、市場開拓と同時に雇用も現地で行うようになります。現地のことは現地の人間に任せたほうが効率も上がりますし、何より人件費が安いからです。
そこで取り残されるのが日本のサラリーマンです。新聞やニュースなどでは「ボーナスが○%アップ」などといっていますが、それはあくまで一時的なボーナスで固定給は変わっていないところがほとんどです。すでに高い賃金を支払っている日本のサラリーマンに、企業側はこれ以上の増額を考えないでしょう。