新築物件は空室・売却リスクが低い
前回に引き続き、資産10億円を築くための具体的な実現プランを見ていきます。今回は、3つ目のプランについてです。
【最もリスクが小さい新築マンション1戸の5年プラン】
経験上、前回紹介した2つのプランは非常に現実的で、どちらも成功の可能性は高いといえます。それでも億単位の運用は怖い――いくら理詰めの話を聞いても、この気持ちを変えられない人もいるでしょう。筆者も不動産業界で数多くの実績を収めていなければ、そう思うかもしれません。
ならば、もっともリスクの小さいプランとして、最初に新築マンション1戸の区分所有をお勧めします。なぜ新築なのかと言えば、なんといっても空室リスクが低いからです。不動産運用において一番怖いのは空室です。まして区分所有なら、当然ながら空室が出た段階で収入はゼロ。ローンは勤務医の給与から払うことになってしまいます。
ところが新築物件に関しては、不動産業界でも「新築プレミアム」と呼ばれるなど、よほど立地や間取りが悪くない限り空室に悩まされることはありません。「スーモ」などの不動産ポータルサイトでは、検索条件に必ず「新築」とあるのも、こだわる人が多いためです。どんなにいい物件でも空室の可能性をゼロにすることはできませんが、限りなくゼロにするには新築であることが必須条件と言えます。
さらに新築で購入すれば、売却を検討することになっても比較的スムーズに買主を見つけることができます。マンションの売り時は築20年までです。築浅で購入すればそれだけ売れる期間が長くなり、資産運用の選択肢が広がるわけです。
1戸所有でも税効果を合わせると十分な収益を得られる
1戸だけでは節税効果に不安を覚える人もいるでしょうが、十分に効果は得られます。例として、先日、ある年収1500万円のドクターが購入した新築物件を紹介します。
この物件は都内にあるマンションの1室で、以下のようなスペックでした。
(物件のスペック)
専有面積:55㎡
間取り:1LDK
最寄り駅からの距離:徒歩3分
価格:4800万円(諸経費180万円を合わせて合計4980万円)
彼は自己資金3180万円を頭金として、残りの1800万円をローンで支払うことにしました。家賃は16万8000円です。毎月の収支は以下のようになります。
(支出)
ローン返済額:10万1000円
管理費:8000円
管理委託料:3500円
支払い合計額:11万2500円
(収支内訳)
16万8000円(家賃収入)−11万2500円(支払い合計額)=5万5500円
毎月5万5500円、年間66万6000円の黒字となります。まずは純粋に資産運用として成功していることが分かります。さらにローンの金利や減価償却費、登記代、火災保険料物件などを医師としての給与と合算することで戻る税金は以下の額でした。
(税金還付)
所得税還付:49万3000円
住民税減額:15万1000円
合計:64万4000円
これにより、1年目の運用の合計額は以下の金額になりました。
(収支内訳)
66万6000円(年間家賃収入)+64万4000円(税金還付金)=131万円
たとえ1戸といえども新築マンションを購入すれば、収益で年間60万円以上、さらに節税でも60万円以上と、合計約130万円の収益が見込めるのです。
もし、一棟買いに抵抗を感じるようであれば、最初はこのように新築マンションの区分所有物件を購入してください。思いのほか簡単に収益が上がり、さらに節税効果も実感できるはずです。
5年後に資産10億円を築いた実例
筆者のクライアントのうち、このパターンで不動産運用をはじめたドクターの多くは、以下ようなパターンで5年後に資産10億円に到達しています。
2年目 新築マンション5戸(合計資産額2億5000万円)
↓
3年目 新築マンション5戸+中古マンション1棟(合計資産額3億5000万円)
↓
4年目 新築マンション10戸+中古マンション2棟(合計資産額7億円)
↓
5年目 新築マンション10戸+中古マンション3棟(合計資産額10億円)
このパターンでは、いくつかの物件を売却してよりグレードアップした物件を購入するといった過程も必要です。しかしながら、5年間でここまで数多くの物件を所有するようになるのです。金融機関は順調にローンの返済をする収益物件のオーナーに対し、審査基準を緩くする傾向があります。そのため、ただでさえ医師は融資を受けやすいのに、さらに追加融資を受けることが可能です。
5年プランを選ぶドクターは、ほかよりも運用のペースがゆっくりしているので、その間に「勤務医を続けるか、退職して開業するか」といった将来設計もじっくり検討することができます。また、複数の物件を所有することでリスク分散ができているので、ここまでくれば簡単には赤字になりません。
このように毎年物件を買い足していくと、資産とともにローン残高も増えていきます。そのため「自分に万一のことがあったら、残された家族は多額の借金を背負うことになるのでは」と、心配するドクターがいます。
しかし安心してください。不動産運用ローンの契約は、本人が亡くなる、または重度の障害者となった場合に備えて団体信用生命保険(団信)への加入が必須条件となっています。団信に加入していれば、住宅ローンの債務者に万一のことがあった場合、ローンの残金はすべて金融機関に支払われます。そのため、家族がローン返済に追われる心配はありません。それどころか、将来の安定収入が見込める収益物件が残ります。
このように、不動産運用は大きなレバレッジ効果を利用できるだけでなく、家族の将来の安心も担保する資産形成方法なのです。