自宅売却損、ローンで買い替え、賃貸に、得なのは?
正解:自宅を買い替えて10年以上のローンを組めば、大きな節税効果あり
「持ち家と賃貸、どっちが得?」という議論は昔からなされていますが、税金面だけを考えると、持ち家のほうが得です。
たとえば、住宅ローン控除は、自宅を買ってローンを組んだ人にしか使えません。これまでに説明した3000万円の特別控除や軽減税率の特例なども同様です。
ここで紹介する特例は、譲渡損失が出たときに使えるものです。たとえば、2000万円で買ったマンションが1000万円でしか売れなかったようなケースをイメージしてください。
譲渡所得は、申告分離課税なので、総合課税である給与所得や事業所得などを合算することはできません。唯一できるのが、譲渡所得どうしで合算するというものです。
しかし、1年に複数の譲渡所得がある人はそれほど多くないはずです。一般の人が、複数の不動産を1年のうちに売却するということは、ほとんどないでしょう。そうすると、自宅を売って出た譲渡損失は、節税に一切活かされないということになってしまいます。
しかし、ここであきらめてはいけません。譲渡損失を活用できる特例が存在するからです。この特例は、国税庁のホームページでは「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越し控除」と記載されていますが、とても長いので、税務職員は根拠条文である租税特別措置法第41条の5から取って「41の5(よんいちのご)」と呼んでいます。
41の5を使うと、自宅の売却損を、総合課税所得とも合算(損益通算)できるようになります。
さらに嬉しいのは、損益通算をして、使い切れなかった損失がある場合、翌年以後最長3年間繰り越せるという点です。