「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

予定納税を「する」「しない」どっちが得か?

正解:資金に余裕がある人は、「予定納税」で利息をゲット

 

税金の納税に関して、ちょっとした裏技があります。

 

延滞税や利子税について説明しました。税金は遅れれば遅れるほど増えていくものということは理解いただけたのではないでしょうか。

 

これは、逆のこともいえます。つまり、早めに納税をしておくことで、実質的に税負担を減らす方法があるのです。そのために使える方法が「予定納税」です。

 

早めに納税をしておくことで、実質的に税負担を減らす方法があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
早めに納税をしておくことで、実質的に税負担を減らす方法があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

予定納税とは、前年分の申告納税額をもとに、「当年の予定納税基準額」を割り出して、15万円以上になる場合に使えるものです。この条件に合致する人には、税務署から通知がくるので、その内容にしたがって早めに納税をすることになります。

 

「当年の予定納税基準額」の計算については、基本的に前年の納税額がベースになっています。とにかく、たくさん納税をした人は、翌年の予定納税が必要になるというイメージをもっておいてください。

 

予定納税の対象になると、予定納税基準額の3分の1の金額を2回に分けて納税します。1回目は7月1日〜31日、2回目は11月1日〜30日です。最後は確定申告の計算をじっさいにやってみて、差額を精算するという流れになります。

 

精算をしてみると、納税になる場合もあれば、還付になる場合もあるでしょう。たとえば、令和元年とくらべて令和2年のほうが、業績が悪化したような場合、予定納税の金額は令和元年を基準に算定されていますが、令和2年の業績にもとづいて確定申告をすると、予定納税の額よりも、確定申告で出てきた税額のほうが少なくなっているはずです。この場合、還付金を受け取ることができます。

 

しかも、予定納税した金額をあとから還付金として受け取る場合、「還付加算金」という利息のような性格の金額が加算される可能性があります。

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