日本でのM&Aのイメージは「乗っ取り屋」?
一方、第2次大戦後の高度経済成長期からおおむね2000年頃までの長期間にわたって、日本ではM&Aの件数は少数でした。これにはさまざまな理由が考えられると思いますが、旧財閥グループにおける金融機関を中心としたコングロマリット、いわゆる「系列」が形成されていたことや、日本的雇用形態などの企業文化が形成されていたことも理由の一つでしょう。
会社を「家」になぞらえてとらえるような、日本の企業文化においては、会社の売買は、あたかも家族を売買するような後ろめたさが伴うものだと思われていました。そのため、経営がどうにも立ち行かなくなった企業が泣く泣く身売りする、あるいは、外資などの「乗っ取り屋」が強引に経営権を掌握しようとするというのが、日本で長い間もたれていたM&Aのイメージでした。
そのため、そもそもM&Aイグジットを目標として、他社に買ってもらうために起業をするといった発想をもつ人も非常に少数派であり、ひいてはM&Aイグジットを前提とした連続起業家という存在も決して社会のメジャーではあり得なかったのです。
牧田 彰俊
株式会社すばる
代表取締役
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