M&AアドバイザリーサービスやM&A後の統合作業や組織再編、事業再生などのサービスを提供する株式会社すばる代表取締役の牧田彰俊氏が、M&Aイグジットの際に、高く売れる会社(株式または事業)の特徴について解説していきます。

高く売れる会社の特徴…社長が遊んでいてもうまくいく

■「しくみ」で利益が生まれているか?

 

社長がいなくても自律的に回る会社(事業)=社長の属人性を排した会社(事業)であることは、非常に重要になります。その属人性の程度にもよりますが、社長がいないと完全に回らない会社、あるいは、社長が抜けたら売上が大きく落ちると予測される会社は、買い手から見ると買いにくい会社になりますし、もし買うとしても価格の評価は低くなるでしょう。

 

なぜなら、M&A後に社長が辞めてしまったら、あるいは、万が一病気や事故などで働けなくなったら、買った会社が無用の長物となる可能性があるためです。

 

また、買い手がM&Aで購入したあと、例えば数年後にイグジットをする際(PEファンドは原則的にイグジットをしますし、事業会社もイグジットをすることはあります)にも、そのような会社は、いわゆる手離れが悪い(売りにくい)会社になるということです。売りにくい会社は、買いにくい会社です。

※自己資金と労力を投じて会社を起ち上げた起業家が、M&Aでその会社(株式、または事業)を売却すること。

 

『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』でいうなら、売れる会社にするためには、S(自営業者)として自分が現場で働く会社を、B(ビジネスオーナー)として自分は保有しているだけの会社にできる限りしなければならない、ということです。それは、会社が高い売上や利益を上げていることとは関係ありません。

 

例えば、典型的なSの例は、法律事務所などの士業でしょう。A先生という弁護士が非常に優秀で、多くの顧客を抱えていて売上も利益も大きなA法律事務所があったとして、その法律事務所をM&Aで購入しても、A先生が辞めてしまったり仕事ができなくなったりしたら、A法律事務所を保有していることには意味がなくなってしまう可能性が高いのです。

 

言い方を変えるなら、利益が「人の特性」から生まれているのではなく、「しくみ」から生まれていることが、B(ビジネスオーナー)の条件であり、M&Aで売りやすい会社の条件だということです。少々逆説的ないい方をするなら、「社長が仕事をせずに遊んでばかりいるのにしっかり利益は出せている会社」が、売りやすい会社だともいえるでしょう。

 

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シリアルアントレプレナー 連続起業家

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牧田 彰俊

幻冬舎MC

日本でも脚光を浴びつつある『連続起業家』という生き方。 150件を超えるM&Aのサポートをした著者が、連続起業家になるための失敗しない起業・会社売却の成功サイクルを解説する! 最近広く知られるようになってきた「連続…

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