クリニック経営に成功するドクターの「電子カルテ」の使い方

クリニックの経営改善・経営成功に必要なのは、小難しくて手のかかる「テクニカルな経営」ではありません。実は、身近な「レセプトデータ」にこそ、経営改善に必要なあらゆる情報が詰まっているのです。税理士やコンサルタントでは気づけない、経営改善策の見つけ方について見ていきましょう。

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必要なのは、「利益を生み出すところ」を重視した経営

クリニック経営が上手くいかない大きな要因は、「経営は難しいものだ」という思い込みにあります。

 

確かに、「経営」と「医療」はまったく別のものです。税理士やコンサルタントから「頑張ってクリニックを経営してください!」と言われて、「これ以上なにを頑張れというのか?」「なにをどう頑張ればいいのか教えてくれよ」と反論したくなった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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私が思うに「頑張れ!」という言葉ほど無責任なものはありません。今から30年近く前、コンサルタント会社の若手社員だった私は、「上司が白といえば白だ」というような教育を受けて育ちました。上司から仕事の依頼があれば、どんなに忙しくても、どんなに難しい内容であっても、断ることは許されませんでした。

 

当時としてはありふれた光景でしたが、現在ではパワハラとして問題視されるような行動や言動も多々あったと思います。そんな精神論や根性論が通用した時代はとうに過ぎ去っています。

 

私の持論は、「クリニック経営を科学する」ことです。感覚的に判断するのではなく、数値管理に基づいた意思決定を行えるようなシステムを構築することが、具体的な指針作りにつながる―。

 

そういうと難しく聞こえるかもしれませんが、多忙な日常診療の中で、手のかかる難しいことをする必要はありません。「多くの利益を生み出すところ」を最優先し、差別化のための「患者サービス」において重点的に取り組みたいと考えるポイントに限定し、定点観測すればよいのです。

「重点的に取り組みたいポイント」はレセプトから発見

では、どうやってモニタリングすればいいのか。そこで私が着目したのがレセプトデータです。レセプトは「診療報酬点数を請求するための書類」という認識が一般的だと思いますが、電子カルテの中にあるデータはクリニックの経営分析資料としても活用できることは意外と知られていません。

 

レセプト枚数、平均診療実日数、平均点数、患者の年齢構成、来院患者数、新患・再患数の推移、患者1人あたりの収益…。自動的に電子カルテが集計してくれているこれらのデータを分析、活用することで、クリニックの経営改善を促す起爆剤となる可能性を秘めているのです。

 

7年ほど前に行った経営セミナーで、「レセプトの詳しい分析を基に事業計画を立てると、売上の増加や経営改善につながる」とお伝えしたところ、ドクターの方々は食い入るように私の話を聞いてくれました。おそらく、レセプトという身近な指標を用いたことで、医療行為の積み重ねが売上(医業収入)につながると理解していただけたのでしょう。

 

ただ、決して特別なことをお話ししたわけではありません。一般企業の経営においてはごく当たり前に行われていること、例えば、スーパーや百貨店では販売実績を集計し、売れ筋商品を店頭に並べる、というようなシンプルな内容を、クリニック経営に置き換えてお伝えしたに過ぎないのです。

 

それこそが、レセプトデータが“宝の山”とも呼ばれるゆえんでしょう。レセプトデータを基にクリニックの収益モデルを分析することで、「なにを頑張ればいいか」「なにを伸ばせばいいか」「なにを意識すればいいか」という具体的な指針が浮き彫りになります。

 

人に与えられた時間は限られています。その中で、最大限、お金や人材等の資源を有効活用するために「頑張るポイントを特定する」のです。

 

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「平均値」の罠…コンサル頼みでは経営改善しないワケ

頑張るポイントを特定するレセプトデータの活用法として一般的なのが、電子カルテやレセプトコンピューター(以下、レセコン)が集計した診療情報を基に「レセプト1枚あたりの単価」や「患者一人あたりの診療単価」、「患者ののべ来院日数」等の“原単位分析”を割り出す手法です。これらの数値が全国平均値(厚生労働省調べ)と比べて極端に低ければ、「患者離れ」や「診療報酬の算定漏れ」等の可能性を探るべきでしょう。

 

ただし、こうしたデータには限界があります。私自身もこれまでに嫌というほどやってきましたし、多くの会計事務所やコンサルタントが用いる手法ですが、自院の傾向分析(体力測定みたいなもの)はできる一方で、経営改善のための指標としては活用しづらいのです。

 

というのも、こうしたデータは標榜科目や経営の核となる患者の疾患等、各クリニックの状況や事情に大きく左右されるからです。自院の課題や改善すべき項目を具体化するためには、患者の主病名や診療行為といった踏み込んだ分析が必要なのです。

 

分かりやすく、飲食店を例に説明しましょう。

 

仮に全国の飲食店の「平均客単価」が5000円で、1日あたりの「平均来客数」が120人として、それを上回っているところがいいお店であり、下回っているところが悪いお店とはいいきれません。おいしい料理が手頃な価格で食べられるということで、いつも賑わっている客単価3000円の居酒屋もあれば、来客数は少なくとも、味にうるさい美食家たちがとことん通い詰める客単価1万5000円以上の高級レストランもあるでしょう。

 

もしそういう店が「平均値」に気を取られ、そこを目指し始めると、たちまち特長や強みは失われ、お客さんは離れていってしまうはずです。

 

クリニックの場合、診療報酬点数(価格)が国によって定められているので、飲食店ほど明確に違いは出ませんが、考え方は同じです。「レセプト単価」として示される患者一人あたりの診療単価は、ドクターの診療結果を測定しているに過ぎません。

 

検査にせよ投薬にせよ、ドクターが必要だと判断したから行っているわけで、「単価が高い=改善すべき」と捉えるのは短絡的だというのが私の考えです(そもそも医師免許のないコンサルタントがドクターの判断を評価することはできません)。

 

しかしながら、多くのコンサルタントは平均値を使いたがります。どうすればクリニックの経営を改善できるかは本来、立地条件や地域、患者層、ドクターの考え方、ビジョン等、さまざまな要素を考え合わせたうえで検討すべき個別の問題なので、平均値を持ち出したところで具体的な解決に至るはずがないのです。データや数字に頼りがちな財務畑の人間が評価する指標としての限界がここにあります。

 

私自身がそうした限界に直面したことから、ドクターに行動改革(意識改革)をしてもらうためには、より具体的な指標が必要であると考えるようになりました。クリニックの医療経営を改善するカギはドクターの中にしかありません。なにをしなければならないのかをドクター自身に気づいてもらうために、詳細なレセプト分析を行うという結論に達したのです。

 

要するに、レセプトデータは「クリニックの現在地」を知るために欠かせないツールなのです。「下手くその上級者への道のりは、己が下手さを知りて一歩目」という言葉がありますが、自院の現在地を正確に把握することが具体的な課題解決への第一歩です。レセプトの請求業務においても、自院のレセプト請求の精度がどのレベルかを把握することから業務の効率化は始まります。

 

メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が高校時代に作った「目標達成シート」が少し前に話題を呼びましたが、自身の課題や強みを自覚したうえで、目標を定めている人の成長速度には目を見張るものがあります。

 

 

柳 尚信

株式会社レゾリューション 代表取締役

株式会社メディカルタクト 代表取締役

 

 

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株式会社レゾリューション 代表取締役
株式会社メディカルタクト 代表取締役 

会計事務所系コンサルティング会社にて、医療機関のコンサルティングを行う。

経営戦略立案、管理会計、人事労務ほか事業承継(M&A)も手掛ける。

また、各地区医師会やハウスメーカー、医療機器メーカー等で、セミナー講師として講演を行い、日経メディカルオンラインでコラム「開業の落とし穴」を第51回まで執筆するほか、日経ヘルスケアで「診療所経営駆け込み寺」を連載する等、セミナー講師・原稿執筆の実績も多数。

著者紹介

連載クリニック経営はレセプトが9割

※本連載は、柳尚信氏の著書『クリニック経営はレセプトが9割』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

クリニック経営はレセプトが9割

クリニック経営はレセプトが9割

柳 尚信

幻冬舎メディアコンサルティング

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