「生産的な大人」になる子どもは、テレビも手作りする
たとえば旅行をするとき、昔であれば地図や時刻表を見て、あの場所に行くには、どの列車に乗って、何時間かかるから、何時に出発しなければいけないということを調べていました。
とても骨の折れる作業です。でも、自分の「頭と手」を使う、生産的な作業でもありました。しかしいまでは、そうやって旅の計画を立てる人は少数派でしょう。インターネットや便利なアプリを使えば、一瞬にして自宅から目的地に着くためのルートや時間が割りだせてしまえるからです。
これは情報を与えられる「消費的な作業」と言えます。一度「消費の便利さ」に慣れてしまうと、もう生産の作業に戻ることはできません。「生産」の大切さを訴えている私でさえ、もう地図アプリや時刻表アプリなしでは、出かけることができないのですから(笑)。
そう考えていくと、「生産的な大人」に育てるためには、親(やおばあちゃん)がなるべく「与えない」ことが大切だということがおわかりでしょう。
私はそう考えていたので、わが子たちが小さいときから欲しがるものを極力簡単には与えないようにしてきました。
友だちが持っているキャラクターのベルトが欲しいと言えば、ダンボールと色紙とマジックでベルトを手づくりしました。食べたいお菓子があるときには、一緒に手づくりしました。そうやって「つくりだす」ことは、生産的な活動でもありますし、親子のコミュニケーションの場にもなります。
わが家では、テレビも見せないようにしていましたが、友だちの家でテレビを見てきたわが子は、ダンボール箱を使って画面の部分をくりぬいた「手作りテレビ」でニュースを演じたり、ドラマを演じたりしていました。
学力も勉強して自分で手に入れる小学生になっても、「欲しいものを自分で手に入れる」精神は変わらず、欲しいものがあるときには、親にプレゼンをしていかにそれが必要かを説明するようになりました。
そのプレゼンで買ってもらえるときもあれば、買ってもらえないときもありました。親の機嫌で決まる場合も多かったのですが……。
また、欲しいものがあるときでも、「これ、買ってよ」と言うことはありませんでした。その代わりに、「仕事を増やして」と言ってきました。小学生から給料制で、仕事をした分だけお金を渡していましたら、欲しいものは自分が働いて買うという発想が身についていたのですね。
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