同じニュースから複数の対極にあるシナリオを考える
一方で、消費が冷え込むことで景気が悪くなることも予想されています。飲食店やイベント会社などの困窮も何度もニュースになっていますが、これは、感染予防に気をつけながらも、お金を使ってほしいとの思惑が透けて見えます。
このようにニュースの背後にある「人や組織の思惑」を意識していると、社会の動向を洞察することが自然にできるようになり、生活のさまざまな側面で役立てることができます。
具体的な例を用いて日常生活から得られるニュースを使って社会動向を洞察してみましょう。
例えば、「住まい」に関わる不動産業界はどうなるでしょうか。社会動向を洞察するときのコツは複数の対極にあるシナリオを考えて、比較してみることです。では、やってみましょう。
2021年の前半、東京都心(渋谷など)のオフィス賃料が急激に下降したというニュースがありました。このニュースの裏側には誰がいるのか。渋谷などの賃料下落が激しいことの要因に渋谷にはIT系の企業が多く、早い段階からそれらの企業がリモートワークに移行したことが指摘されています。
一つは、リモートワークが進展して、IT企業以外にも伝播し東京にオフィスを構える必要がなくなり、オフィスの賃貸需要の減少が固定化されるというシナリオです。このシナリオだけ見れば、東京の不動産価格は全体的に下がっていくだろうという洞察も可能かもしれません。
もう一つのシナリオは、あえて逆の想定をしてみます。近年、複数会社でのシェアオフィスやコワーキングスペースが増加し活況を呈しているというニュースを見ることが多くなりました。
この裏側にはやはり一人では仕事が進まないという人も多く、かといって会社には行けないという人たちや近年増加しているフリーランスの人々が、コワーキングスペースに集まっていることが指摘されています。フリーランス化が大きく進展し、コワーキングスペースの需要が高まり、都心のオフィス賃料は思ったほど下がらない、むしろ今後は上がるかもしれないとの洞察もできます。
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