不動産の相続は、必ずしもメリットだけとは限りません。収益性の低い物件を相続しても、支払った相続税はもちろん。その後も税金や維持費が出ていく一方で、なんのメリットは得られないからです。そのような状況を脱するには、資産の組み換えが不可欠なのです。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

資産の組み換えで相続のトラブルを乗り切った事例

下記、相談事例を紹介します。

 

 ●収益性の低い不動産を売却→保険に加入して相続対策 

 

50代会社員の内山さんは父方が地主の家系で、内山さんの父親も、祖父から多くの土地を相続していました。父親が亡くなったときは、配偶者の特例を生かしたことで納税額が少なかったのですが、母親が多くの土地を相続したため、二次相続が不安になりました。

 

 

母親の財産は、自宅・賃貸マンション1棟・駐車場・貸宅地・金融資産数千万円、生命保険等があり、賃貸マンションの債務を差引いても基礎控除を超えているため、相続税の納税が必要となります。

 

賃貸マンションや駐車場は収益性が高いのですが、貸宅地のほうは、地代収入と固定資産税・都市計画税の支出を比較すると低い状態でした。また、土地の所有者でありながら自由な活用ができず、相続では底地権として評価される物件であるため、筆者は所有価値が低い財産の売却を提案をしました。

 

貸宅地の売却先は借地人が第一候補ですので、借地権者に事情を説明すると、ぜひ購入したいという意向を示したので、双方が納得できる評価額で売却することができました。

 

納税対策として、土地の売却代金で追加の生命保険金に加入し、内山さんは胸をなでおろしました。

 

 ●訳アリ物件をどうにか売却し、収益不動産を買いなおす 

 

60代の会社員の野原さんは、父親が亡くなったことで、父親が保有していた収益性の低い不動産をどうするべきか悩み、筆者のもとを訪れました。

 

野原さんの父親はもともと会社員だったそうですが、定年退職後、かねてから興味を持っていた不動産投資にのめりこみ、本格的に賃貸事業を開始したそうです。投資額を押さえるために競売物件ばかりを狙って購入し、ひたすら数を増やしていました。野原さんも弟も、不動産投資に関心がなかったため、父親に干渉しませんでした。



父親が亡くなり、野原さんと野原さんの弟は相続手続きに着手した際、はじめて父親の財産の詳細を調べたのですが、保有していた物件が、築40年前後の木造共同住宅・建築制限があり建物が建たない土地・家賃滞納が多いアパートなど、いずれも「難アリ物件」ばかりであることを知ったのです。

 

野原さんきょうだいは、収益性が低く、固定資産税とのバランスが取れないにもかかわらず、近い将来に大規模改修やリフォーム等の多額の持ち出しが発生するこれらの物件を、このまま保有・賃貸経営していくことに不安を覚えました。

 

筆者は、すべて売却して買い替えることを提案しました。多少の課題はあったものの、幸い全物件を売却することができたので、必要な現金を手元に残しつつ、築浅の物件へと買い替えを行いました。野原さんきょうだいは、父親が残した「負動産」から解放され、ようやくひと息つくことができました。

 

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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    本記事は、株式会社夢相続が運営80代するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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