医学部受験専門予備校では、いろんな生徒がやってきます。「お前、女なのだから、やめたっていいんだよ」「この子がかわいそうだから、私も寮に泊まります」など、医学部受験をする生徒や親が抱える闇について、医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が解説します。

仕事のつらさも理解したところからスタート

「自分の価値観もない。勉強もしない。こんな子供にしてしまったのは、あなた方じゃないか!」と言いたくなるのです。よく、親や親方、先輩の後ろ姿を見て育つ、などと言います。

 

ところが今の親たちは、自分の後ろ姿を子供に見せていないのです。「僕はお父さんのような医者になりたいです。お父さんはすごい外科医です」と言う生徒がいました。「そうか。どんなふうにすごいんだい? お父さんはどんな医者なんだい?」と聞くと、答えられません。

 

「一度か二度、働いているところを見ただけですから……」

 

「何だって? それはおかしいぞ。見てもいないのに憧れているのか?」

 

「はぁ」

 

「じゃあ、どこがいいんだよ?」

 

「朝早く出掛けますし、人よりも稼いでいます。僕がここに来られたのも、お父さんのお陰だと思います」

 

「はあ? なんだ、それ。お前な、もっとちゃんとお父さんを観察しろよ。家に帰って来た時に、どんな顔をしている? くたくたな顔をしていないか? そんな時でも電話が入ってくるだろう? たとえ家で食事をしている時にも、電話がかかってくるだろう?」

 

「かかってきます」

 

「そんな時、お父さん、どんな顔をしている? 目つきが変わって、飛んでいくだろう?」

 

「はい、そうですね」

 

「それで帰って来た時はどうだ? 嫌そうな顔をしているか?」

 

「そういう時もあります」

 

「うれしそうな顔の時もあるか?」

 

「あります」

 

「そこだよ、それを見て、お前はどう感じるんだ?」

 

本当はお母さんがフォローしてあげるべきなのです。「お父さん、ほら、今日はうれしそうにしゃべっているでしょう? 満足そうでしょう? きっと治療がうまくいったのよ」というように、説明をしてあげるべきなのです。その一言で、大きな教育になるのです。

 

医者のやりがいや醍醐味、つらさが分かる。そういったことを理解して初めて、医者になる準備を始められるのです。動機付けもできるのです。それがうれしそうな、充実感を味わっている姿も見ていない。見せていない。逆に苦しくてつらい姿も見せていない。その苦しさ、つらさも分かったうえで、それでもやりがいを感じる。そんな職業観を持ってほしいのです。

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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