快適に暮らせるのは「塗装が家を保護しているから」
では、塗装の劣化を放置しておくとどうなるのでしょうか。
簡単にいえば、外壁塗装の3つの目的がすべて果たしづらくなります。つまり、美観、躯体の保護、機能がすべて低下しやすくなるということです。
美観の低下とは、要するに見栄えが悪くなるということです。
オーナーとしても気分が良くないでしょうし、ご近所や友人、知人からの印象も悪くなるでしょう。
また、コケやカビも発生しやすくなり、建物の外観が悪くなるほか、悪臭の原因になります。コケやカビの水分によって塗料が劣化したり、塗料が剥がれて家の保護効果が下がり、寿命が短くなる可能性もあります。
躯体を保護する効果や機能が低下すると、家は老化し、安全に暮らせなくなります。
例えば、外壁塗装は築年数が経つにつれてツヤがなくなっていきます。これは塗料が水をはじく力が弱くなっていることの表れで、塗料の防水機能が低下し、家を保護する力が弱まっています。
防水機能が弱まると、壁に雨水が入りやすくなり、壁材が歪み、ひび割れします。ひび割れすることによって雨水がさらに侵入しやすくなり、雨漏りを起こします。
雨漏りは屋根が原因と思われがちですが、壁からの雨水も原因になります。壁の内側に雨水が入り込み、その水が室内に滲み出てくるのです。
壁が原因の雨漏りは小さなひび割れが原因になっていることがあり、見た目では気づきにくいのが特徴です。雨漏りといえば屋根という先入観があり、ひび割れを見落とすことによって雨漏りが深刻化する可能性もあります。雨漏りが進行すると、家の躯体が腐りやすくなります。
湿気を含む材木はシロアリを呼ぶ原因になりますし、雨漏りの水が漏電を引き起こし、火災の原因になることもあります。
このことからも分かるように、日々、安全に暮らせるのは外壁や屋根の塗装が家を保護しているからなのです。
ちなみに、雨水だけでなく、紫外線もひび割れの原因になります。
塗料で外壁材や屋根材を守っているうちは大丈夫ですが、塗料が剥げたり、経年劣化で塗料の機能が低下することによってひび割れする可能性が高くなり、そこが雨漏り、躯体の腐食、シロアリ、火災などの原因になります。
塗装前の診断で発覚&すぐに解決できるトラブルも
塗装の劣化は家を劣化させ、被害が深刻化します。
そう考えると、外壁塗装は家の定期検診のようなものと言い換えてもよいかもしれません。
体のなかで病気の芽が生まれていたとしても、定期的に健康診断を受けていれば見つけることができ、治療できます。
家も同じで、外壁塗装する際には外壁材やコーキングなどの状態を確認しますので、そのときに雨漏りしそうな部分を見つけ、修理できるかもしれません。実際、塗装前の診断で外壁材の不良が見つかることも多いのです。
その機会を後回しにすると、気づかないうちに雨漏りする箇所が増え、躯体が腐っていきます。
この状態になると、塗装ではどうにもできません。
腐った躯体は塗装でよみがえらせることはできませんし、塗装で雨漏りを止めることもできないため、躯体の交換工事や外壁や屋根の張り替え工事が必要になります。被害が深刻な場合、大掛かりなリフォームが必要になることもあります。
そのための費用は外壁塗装とは比べ物にならないくらい高額になるでしょう。
外壁塗装はだいたい80万~100万円前後ですが、外壁材を取り外し、下地材を張り替える工事になると200万円以上の費用がかかります。外壁塗装というメンテナンスを後回しにすることで、将来的に修理費用が跳ね上がってしまうのです。
久保 信也
株式会社リペイント匠 代表取締役
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