あんたと暮らしたくなかった…介護している老母の叫びに娘絶句

「実家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母親が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。日本の高齢化は進み、高齢者と後期高齢者という家族構成が珍しくなくなってきた。老いと死、そして生きることを考えていきます。本連載は松原惇子著は『母の老い方観察記録』(海竜社)を抜粋し、再編集したものです。

息子は母親のそばから、なかなか離れない

母親は息子が好き、娘は介護要員

 

おしなべて世間の母親は、同じ子供でも娘より息子の方が好きだ。いくら同じお腹を痛めた子でも、かわいいのは男の子のようだ。母親と言えども女性なので、異性の方が好きなのだろう。異性が好きなのは人間の本能にちがいない。そうでないと種が絶えてしまう。

 

母は息子と話すときは、やさしい声を出す。そんなとき、わたしは心の中で「男好きね」と嫌味を言う。こういう見方をするから娘は嫌われるのだろう。

 

息子はいつも「なに? お母さん」と静かに話に耳を傾けるが、娘のわたしは「えっ。なに? それで?」とそっけない。

 

男性にもいろいろいるが、押しなべて男性は静かでやさしい動物だ。それに対し、女性はちゃかちゃかしていてうるさい。


 
30代の未婚男性に聞いてみたところ「言われてみればそうですね。うちにも姉と妹がいますが、母は僕に対しては、別扱いですね」と笑った。今の時代でも変わらないことに、わたしは少なからずショックを受けた。母子関係は、進化してないのか。

 

「もし、川で家族がおぼれていて、ひとりしか助けられないとしたら誰を助ける?」こんな心理テストがあったが、間違いなく母親は、夫でも娘でもなく息子だろう。

 

娘は物心がつくと、お相手を見つけてさっさと家を出ていくのが普通だが、息子は母親のそばから、なかなか離れない。母親も息子を離さない。このゆがんだ親子関係が世の中を騒がす家族殺人や切りつけ事件、引きこもり社会現象を生んでいると言ったら言い過ぎだろうか。わたしの周りにも、母息子の密着親子が普通にいる。その場合、息子が働いていないことが多い。

 

本当は息子の世話になりたい

 

「母親は息子が好き」の話を親しい女友達にしたところ、うちもそうよという返事が返ってきた。兄と彼女の2人兄弟。95歳で亡くなった母親の世話をしたのは、シングルの彼女だった。母親に朝ご飯を食べさせ、ベッドに寝かせ、お昼を用意して出勤。この生活を何年もやっていた。母親としては、感謝しても足りない存在の娘であるはずだが。

 

そんなある日、母親が大声で彼女に言ったそうだ。認知が入っていたのかどうかはわからないが、彼女はショックで立ちあがれなかったと話す。

作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク代表理事

1947年、埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジ大学院にてカウンセリングを専攻し修士課程修了。39歳の時『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。3作目の『クロワッサン症候群』はベストセラーになる。
「ひとりの生き方」をテーマに執筆・講演活動を行っており、1998年に、おひとりさまの「終活」を応援する団体、NPO法人SSS(スリーエス)ネットワークを立ち上げる。
著書に『長生き地獄』『老後ひとりぼっち』(SBクリエイティブ)、『人生後半を楽しむシンプル生活のススメ 人生はこれからが本番よ!』『70歳、だから何なの』(海竜社)、ほか多数。

著者紹介

連載元気で長生きするヒント「うちの母はスーパー老人」

母の老い方観察記録

母の老い方観察記録

松原 惇子

海竜社

『女が家を買うとき』(文藝春秋)で世に出た著者が、「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。 おしゃれ大好き、お出かけ大好…

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