どんなリスクが潜んでいるかわからない「家と土地」。髙橋土地家屋調査士事務所代表・髙橋輝氏の著書『買ってはいけない家と土地』(自由国民社)より一部を抜粋・編集し、営業マンが売れ残りを処理する際に用いるセールス術を紹介していきます。

お金を払うのは夫なのに「妻を攻める理由」

【営業マンのターゲットは奥様である】

 

この話はよく聞くかもしれません。本当かどうかと聞かれれば、私が以前に勤務していた会社では、本当に奥様を買う気にさせるよう教育されていました。

 

マイホーム購入の理由は、旦那様と奥様で、決定的に違いがあると感じます。旦那様の意見の多くは、

 

「35年ローンを組むなら、そろそろ買わないと返済できない」

 

「子どもも生まれたし、今の家が手狭(てぜま)になった」

 

「家賃をずっと払っていっても資産にならないのでバカらしい。せっかく払うなら資産になるように購入しようと思った」

 

というように、将来的な資産形成、将来設計に重きを置いているように感じます。これに対して奥様はというと、

 

「綺麗な家で家族の帰りを待っているのが夢だった」

 

「昔から新築の家に住むのが夢だった」

 

「対面式キッチンにあこがれていた」

 

「ウォークインクローゼットや食洗機などがあったら、家事が楽になる」

 

など、家への憧れを抱いている方が多いように感じます。営業マンとしては、旦那様と奥様、どちらを買う気にさせるのが早いでしょうか?

 

当然、奥様をその気にさせた方が買ってくれる可能性が高いのです。ですから一生懸命物件案内を行い、奥様の購買意欲に火をつけます。

 

最終的な購入は旦那様の意思もありますが、奥様が乗り気になってくれれば愛する妻には甘いものです。

 

余談ですが、奥様にアプローチをしすぎても、営業マンとして失敗することがあります。それは旦那様の嫉妬です。営業マンも気苦労の絶えない仕事なのかもしれません。

 

私が不動産の営業や、土地家屋調査士としての経験を通じて強く感じたことは、ほとんどのお客さまが建っている建物にしか目を向けていないということです。たしかに毎日の家事が楽になる、綺麗な家で毎日が幸せになるのはとても大事なことです。

 

しかし、建っている土地の価値もしっかり見極めることが大切です。建物の資産価値は、経年劣化に伴って徐々に下がっていきます。木造であれば20数年もすればゼロになるのです。売却する時は、土地の値段だけになることを頭に入れて物件を選ぶようにしましょう。

 

 

髙橋 輝

髙橋土地家屋調査士事務所代表

 

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買ってはいけない家と土地

買ってはいけない家と土地

髙橋 輝

自由国民社

物件を選ぶとき、ほとんどの方は、どうしても「建っている建物」だけに目が向いてしまうようです。 毎日の家事がしやすかったり、自分好みの雰囲気の中で暮らすことに想像を巡らせることも確かに大事なこと。 でも、安心して…

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