お買い得なのは「築20年前後」の「注文住宅」
・中古の建物の査定には耐用年数を採用している
中古物件の価格はどのように決められているのでしょうか。いろいろと方法はありますが、類似する近隣不動産の取引事例の値段を参考に決めるのが一般的です。
土地については、類似する近隣不動産と相違する部分に加減率を乗じて算出しています。建物については[図表1]に記載のとおり、構造別に耐用年数が決められています。この耐用年数は主に減価償却費の算出などに利用されますが、中古物件の査定の際にもこの耐用年数を参考にして算出されています。
例えば築年数20年の木造家屋の場合、耐用年数22年ですから残存期間は2年間と考えます。このように考えると「土地代+α」で中古物件を購入することができるわけです。
中古物件を査定する際にどの会社で施工されたのか、どのぐらいのスペック(床暖房、浴室内テレビ、複層ガラスなど)なのかはあまり値段に反映されていないのが実情です。注文住宅であれ建売住宅であれ、築年数が同じなら値段も大差はありません。
主要構造部分においては専門家のチェックをお願いするべきですが、せっかく購入するのであれば築年数20年前後の注文住宅がお勧めです。
将来、リフォームでいくら使うことになるのか
・安く買ったがリフォーム代が余計にかかったケース
リフォーム代金が多くかかるのは、建物の主要構造部に欠陥がある場合です。主要構造部とは柱、梁、床、屋根などを指します。
築40年の家屋付きの物件を購入したAさんは、購入前に雨漏りをしたことがあることは前の所有者から聞いていたのですが、雨漏りした際に修繕を行い、それ以降は不備もなく使用していたということだったので、たいした問題ではないと思っていました。
ところが、購入して2年後、以前に修理したのと同じ箇所から雨漏りがあり、修繕しなければならなくなってしまいました。この修繕にかかった費用は110万円です。中古の建物なので覚悟はしていたようですが、「思っていたより早く雨漏りして、出費が痛かった」と嘆いていました。
Bさんも、木造の古い家屋付きの土地を購入したのですが、購入した後になって、建物の基礎、柱までシロアリに食われていることが分かりました。シロアリに柱などを食べられると、耐震強度が不足してしまうことがあります。
Bさんの購入した物件もそうだったのでリフォームを検討したのですが、リフォーム費用は、古い家屋を取り壊して新しい家を建てる費用とさほど変わらなかったのです。建物付きで安く買えたと喜んでいたら、リフォーム代に多額の費用がかかってしまったという、本末転倒なお話です。
主要構造部に欠陥があると、修繕している期間、他に住む場所も確保しなければならないケースもあります。賃貸物件を借りれば家賃もかかり、家計を圧迫します。
こうならないよう、中古物件の購入を検討されている方は第三者であるホームインスペクター(住宅診断士)の住宅検査をお勧めします。売主の理解は必要になりますが、購入前に見てもらっておけば安心して購入できるのではないでしょうか。
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