コロナ禍、「孤独死」が急増しています。関係のないことだと思っていても、遠縁の親族などの死で、突然「相続」が発生することもあり得るので、もしもに備えて知識を身に付けておく必要があります。今回は、税理士法人田尻会計の古沢暢子氏が、交流のない親族の死後、なにを確認すべきなのか、またどのような手続きを行うべきか解説します。

亡伯父の財産と債務がどれくらいあるのか分からない…

Aさんから「伯父亡くなったのですが、相談したいことがあります」と電話があったのは昨年7月のことでした。

「伯父が自宅で亡くなったのは、実は5月半ばだったようです……。近くで生活をしている人がいなかったので発見までに時間がかかってしまいました」

警察による身元確認と捜査が終わり、親族で葬儀をすませたところで、Aさんから相続手続きの進め方について相談を受けました。亡くなった伯父には配偶者も子どもなく、親も他界していました。また弟が2人いましたがどちらも既に亡くなっており、Aさんを含む甥姪3人が相続人となったのです。

Aさんたち相続人は日常的に伯父と交流することがなく、伯父がどのような生活をしていたのか、ましてや相続財産と債務がどれくらいあるのか検討がつかない状況でした。

 

遺産や債務がどれくらいあるか分からない…(画像はイメージです/PIXTA)
遺産や債務がどれくらいあるか分からない…(画像はイメージです/PIXTA)

①相続か、放棄又は限定承認するのかを判断する

相続が発生した場合、まず検討しなければならないことは故人の財産を相続するのか、放棄又は限定承認するかの判断です。

 

債務が多額にあった場合やそのほかの理由で財産の一切を相続しない場合(相続放棄)、相続財産と債務が不明な時などに、相続する財産を限度として負債を受け継ぐ場合(限定承認)には、家庭裁判所へ申述をしなくてはなりません。

 

※相続放棄又は限定承認をする場合の家庭裁判所への申述期限
⇒相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内

 

伯父が居住していたマンションは本人名義であり、これに関する借入債務は無いということはわかりましたが、この先の財産調査については弁護士に依頼し進めてもらうことになりました。

 

調査の結果、伯父には居住していた不動産のほかに、現金預金、株式・債権、生命保険金などの財産があること、債務については未納となっていた公租公課や光熱費など少額なもの以外は存在しないことが判明したため、相続放棄と限定承認はしないこととなりました。

 

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