(※画像はイメージです/PIXTA)

一定の要件を充たすことで、土地の評価額が8割減となる「小規模宅地等(居住用)特例」。老人ホームに入居する家族が亡くなった場合の特例の適用可否について、税理士法人田尻会計の税理士・古沢暢子氏が解説します。

小規模宅地等(居住用)特例とは

老人ホーム等の介護施設について考えるきっかけは、入居するご本人やそのご家族の状況によって様々です。要介護度が上がって家族の負担が増えた、病気等で在宅看護が難しくなった、認知症が進行したなどが主な入居理由ですが、近年は将来必要となった時のために元気なうちから入居をされる方も多くいらっしゃるようです。

 

今回、老人ホームに入居したご家族が亡くなった場合における小規模宅地等(居住用)特例の適用可否について、その要件や具体的な事例を検討していきます。

 

小規模宅地等(居住用)特例は、被相続人等が住んでいた土地について、一定の要件を充たす場合に、330㎡までの土地の評価額を8割減額するという特例です。

小規模宅地等(居住用)特例の適用要件 

父が亡くなり、母と2人の子が相続人となりました。父と母は父名義の自宅に住んでいましたが、父は数年前から老人ホームに入居し、そのまま亡くなりました。長女、次女は父とは別生計であり、ともに賃貸物件に居住しています。この自宅敷地に小規模宅地等(居住用)特例を適用できるでしょうか。

 

小規模宅地等(居住用)特例においては、その土地が相続開始時において被相続人、もしくは被相続人と生計一の親族が使用していることが条件となります。老人ホームで亡くなった被相続人についても、次の要件を充たせば特例を適用することができます。

 

なお、平成25年の税制改正により平成26年1月1日以降の相続から、終身利用権付きの老人ホームに 入居した場合でも特例の適用が可能となりました(措置69-4-1 措令40-2 H25.5.31政令169号)。

 

被相続人が老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等(居住用)特例の適用要件は次の3つです。

 

①被相続人が亡くなる直前において要介護・要支援の認定を受けていたこと

②入居施設が老人福祉法等に規定する一定の老人ホームに該当すること

③老人ホームに入居した後、自宅が賃貸や事業のために使用されていないこと

 

それぞれ詳しくみていきましょう。

 

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