(※画像はイメージです/PIXTA)

相続税における「配偶者の税額軽減」。配偶者の生活等を配慮した制度ですが、活用にあたってはいくつか注意すべき点があります。そこで「配偶者の税額軽減」仕組みや適用要件、活用の際の注意点について、税理士法人田尻会計の税理士・古沢暢子氏が解説します。

配偶者の税額軽減…制度の内容

配偶者の税額軽減とは、配偶者が相続または遺贈により取得した遺産が、1億6千万円と配偶者の法定相続分のいずれか多い金額までは配偶者に相続税がかからないという制度です。

 

法律上の婚姻期間が1日でもあれば適用することができ、原則として相続税の申告期限までに遺産が分割されていることが必要です。

 

一般的な事例に加えて特殊な状況で配偶者が遺産を取得した場合の、配偶者の税額軽減の制度について検討していきましょう。

配偶者の税額軽減…申告の要否と添付書類について

この先の内容は以下を前提として進めていきます。

 

<前提>

夫が亡くなって妻と子ども2人が相続人となりました。夫は生前に妻に自宅不動産及び預貯金、2人の子どもに預貯金を相続させるという内容の遺言を作成していました。

 

①夫の遺産総額が基礎控除額以下⇒申告不要

夫の遺産総額*1が基礎控除額以下であり、相続税が課税される遺産がないときは、相続税の申告が不要となります。

 

*1:小規模宅地等の特例等を適用しないで計算した遺産総額とします。

 

<遺産に係る基礎控除額>

妻と子ども2人が相続人となったときの基礎控除額の計算

3,000万円+(600万円×法定相続人の数3人)=基礎控除額4,800万円

 

②夫の遺産総額が基礎控除額を超える⇒申告が必要

注意が必要なのは、夫の遺産総額が基礎控除額を超えており、配偶者の税額軽減を適用することにより相続税が0円となる場合です。結果的に納税額はありませんが、課税される遺産はありましたので、申告期限までに相続税の申告書を税務署に提出しなくてはなりません。

 

<配偶者の税額軽減額>

相続税の総額×㋑または㋺のいずれか低い金額/課税価格の合計

㋑1億6千万円と配偶者の法定相続分のいずれか高い方の金額

㋺配偶者の課税価格

 

③申告書に添付する書類について

配偶者の税額軽減は申告期限までに遺産が分割されていることが要件となり、遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を申告書に添付する必要があります。

 

妻と子どもが夫の遺言どおりに遺産を分割した時には、遺言の写しを添付します。遺言があっても、遺産分割協議により遺言とは別の方法で遺産を分割した時には、遺産分割協議書の写しを添付します。

 

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