医師の平均年収は1200万円であり、誰もが認める高収入職業です。しかし日本では収入額に応じて税金が加算されますから、手取りはそう多くありません。実際、「思ったよりもお金がない」と感じる医師は少なくないようです。とはいえ、だからこそ「所得税の節税対策」が資産形成の第一歩となり得るのです。今回は確定申告について見ていきましょう。

医師の資産形成は「確定申告を学ぶこと」が第一歩

日本では所得額に応じて税金が加算されます。そのため収入が高ければ高いほど納税額がどんどんアップしてしまいます。高収入である医師は今すぐに節税対策や資産形成に取り組まなければなりません。そこで、業務多忙な医師でも負担なくはじめられる節税対策や、手放しで続けられる資産形成法について紹介します。

 

節税対策の第一歩は「確定申告について学ぶ」ことです。2ヵ所以上の医療機関に勤務している医師であればご存知かもしれませんが、勤務医も確定申告ができますし、また収入状況によっては確定申告をしなくてはならないケースもあります。

 

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<勤務医の確定申告>

●複数の医療機関に勤務していたり、勤務先の給与以外に収入(講演料・執筆料など)がある場合、または勤務先が1ヵ所でも年収が2000万円を超えている場合は確定申告をする必要があります。

 

●確定申告には、最高65万円の特別控除が受けられる「青色申告」と、貸借対照表や取引ごとの帳簿を提出する必要のない「白色申告」があり、勤務医の場合は白色申告になります。

 

●前年1年間(1月~12月)の収入と経費を相殺した所得額を算出し、専用の申告用紙に必要事項を記載の上、2月16日から3月15日(例年の日程。2021年はコロナ禍の影響を考慮し4月15日)までに税務署へ提出します。

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確定申告を行えば、収入額から業務上必要と認められる経費を差し引くことができるため、所得税を減額できます。医師の経費として認められているのは、医学系書籍の購入費、個人的に参加した研修会の受講料などです。

 

たとえば、1年間に購入した書籍代の合計が約50万円、研修会・学会への参加費やその交通費・宿泊代などを合わせた金額が約100万円であれば、必要経費の合計は約150万円になります。

 

これに給与所得控除(約154万円)を加えれば、合計300万円以上の所得税控除が受けられます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

年収1500万円なら「確定申告の有無」で約50万円の差

上記を踏まえて、年収1500万円の医師が確定申告を行った場合と行わなかった場合の納税額を比較してみましょう。

 

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<確定申告を行った場合>

(収入1500万円-給与所得控除154万円-経費150万円)×所得税率33%=約395万円

 

<確定申告を行わなかった場合>

(収入1500万円-給与所得控除154万円)×所得税率33%=約444万円

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確定申告を行わないと所得税は400万円以上になりますが、確定申告を行って必要経費を計上すれば300万円台、約50万円も節税することができます。

 

「所得税の圧縮」には資産運用が不可欠

とはいえ、それでも収入の1/5以上を徴収されることになりますので、さらなる節税対策が必要になってきます。

 

節税に絶大な効果が望める手段は「資産運用」です。では、多忙な医師でも取り組むことができ、節税効果も望めるベストな資産運用法とはどんなものなのでしょうか。

 

たとえば株式投資やFX投資の場合、所得税控除されるのは取得手数料や譲渡手数料程度です。マーケット動向を見るためのタブレット端末購入費や、データ通信サービス利用料、株式投資関連の書籍代、投資セミナーの参加費などは経費として認められません。

 

一方、不動産投資では購入時の仲介手数料、登記費用、不動産取得税が控除されるほか、建物の減価償却費、修繕費、管理会社に支払う管理委託費、さらには不動産投資関連の書籍購入やオーナー勉強会への参加費なども経費計上できます。

「不動産投資で認められる経費」のすべて

ここで、不動産投資で所得税控除が受けられる経費について紹介します。それぞれの金額については、2000万円の投資用マンションを購入したと仮定してざっくり計算しています。

 

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【購入した投資用マンションの概要】

●販売価格:2000万円

 土地価格600万円、建物価格1400万円

 建物価格のうち、躯体価格980万円、付帯設備価格420万円

●銀行借入:1800万円

 年利45万円のうち、土地金利13万円、建物金利32万円

 

<購入時に税控除が受けられる経費>

●不動産会社へ支払う仲介手数料:約70万円

●不動産所有権登記費用(司法書士報酬を含む):約40万円

●ローン事務手数料:約40万円

●不動産取得税:約50万円(不動産取得数か月後に支払い)

※上記の他、購入検討物件の現地調査にかかった交通費や宿泊代も経費計上できます。

 

<賃貸運用開始後の年間固定費で税控除が受けられる経費>

●建物の減価償却費:年間約90万円

●管理組合の管理費・修繕積立金:年間約30万円

●火災保険料:年間約3万円

●管理会社に支払う管理委託費:年間約10万円

●不動産投資関連の学習費用(書籍購入やセミナー参加):年間約20万円

●ローン金利:年間約32万円(建物金利分)

 

※上記の他、突発的に発生する建物の修繕費や、賃借人が退去したあとの原状回復費用(賃貸人負担分)、新規賃貸募集で入居者が決まった際に不動産会社へ支払う仲介手数料なども経費計上できます。

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このように、不動産投資では購入時に160万円以上、賃貸運用開始後は毎年180万円以上の経費が計上できるのです。

 

<まとめ>

 

確定申告の事務作業は面倒なものですが、高収入であるが故の「重たい義務」と考えず、手元により多くの資産を残すための手段と考えれば積極的に取り組むことができます。

 

業務多忙のため申告処理ができない場合は、信頼のおける税理士に依頼するのも一つの方法です。

 

また不動産投資をはじめる場合は、賃貸経営における節税対策に長けた不動産会社のサポートを受けることもできます。

 

 

大山 一也

 

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