多くの家庭で、親の介護はいずれ直面する問題です。ファイナンシャルプランナー・安田まゆみ氏の『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ新書)より介護にまつわるお金の問題について解説していきます。

いま元気でも油断は禁物!「高齢者の入院は…」

親が「万が一、病気になった時」と言いますが、現実には「万が一」などと言ってはいられません。病気やケガ、入院のリスクは高齢者ほど高くなります。老化によって筋力体力が衰えるのですから、当然のことでしょう。

 

病気やケガで入院となれば医療費がかかります。入院時にかかる費用(治療以外)としては、次のようなものが挙げられます。

 

●差額ベッド代(1日あたりの平均6188円・厚生労働省資料)

●入院中の生活必需品の購入費

●お見舞いや付きそいなどの交通費、食事代

●友人知人のお見舞いに対するお礼

 

高齢者の入院が怖いのは、入院が長期化することが多いからです。ひとり暮らしをしている実母も83歳の時に立ちくらみから、転倒して右肩を粉砕骨折し、リハビリを含めた入院は、1か月を超えました(心臓病も抱えているため、同様のケースより長かったのです)。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

その後は、リハビリでの通院をと言われましたが、退院してもひとりで暮らすこともままなりません。結局、リハビリ期間中は、看護師をしている長野の妹の家で暮らすことになりました。

 

後期高齢者で、4人部屋への入院でしたので、入院費用は、20万円もかかりませんでしたが、私たち娘が、入院、リハビリのための転居等で、長野と東京を行き来した費用や、妹のところからリハビリに通う費用、妹家族への生活費の支払いなどを含めると入院費用を超える結構な額になりました。

 

昨年、友人の母親(82歳)が、足の骨折で3週間入院したのだそうですが、退院時には、「認知症が始まってしまった」と嘆いていました。高齢者の場合、入院によって長期に寝たきりの状態が続くと、その病気だけでなく、認知症への発症リスクも抱えることになるのだと、あらためて実感しました。

 

このように、高齢者はいつ何どき、思わぬ額の出費に見舞われるかわからないのです。いま元気でも油断はできません。認知症にしても、65歳を超えるとリスクはぐっと高まってきます[図表1]。

 

 

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そろそろ親とお金の話をしてください

そろそろ親とお金の話をしてください

安田 まゆみ

株式会社 ポプラ社

離れて暮らす親の老いは、子どもにとって心配の種。 そのひとつに「お金」の問題があるが、親子の間でもお金の話はなかなか聞きづらく、つい先送りにしてしまっている人が多い。 だが、もし親が認知症になってしまったら、…

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