ドイツCDU新党首、最初につまずく

ヘッドライン2021年1月13日号『メルケル首相の後任選びのプロセス開始』で示したように、今回の3月14日の地方選挙は、ドイツの与党CDUが今年1月15,16日の党大会でラシェット氏を党首に選出した後の最初の大規模な選挙です。9月の総選挙での戦いを占うと共に、新型コロナウイルスへの対応に対して有権者が不満を表明する選挙となりました。CDUには今後の建て直しが求められそうです。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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ドイツ地方選挙:与党CDUの得票率は過去最低、総選挙に向け巻き返しが求められる

ドイツの二つの州(バーデン・ビュルテンベルク州、ラインラント・プファルツ州)で2021年3月14日に州議会選挙が行われました(図表1参照)。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]CDU党首選までの過去の流れと今後の予定(白色) 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

与党CDU(キリスト教民主同盟)は、両州とも得票率が前回選挙より低下し、第2次大戦以降において最低の得票率で敗北しました。

 

今回の選挙は9月に予定される連邦議会(下院)選挙の前哨戦と位置づけられています。9月の総選挙は、引退を表明しているメルケル首相の後任を決める選挙でもあるだけに、ドイツ政治の今後が懸念される結果となりました。

どこに注目すべきか:CDU、州選挙、不祥事、ワクチン接種、EUの顔

ヘッドライン2021年1月13日号『メルケル首相の後任選びのプロセス開始』で示したように、今回の3月14日の地方選挙は、ドイツの与党CDUが今年1月15、16日の党大会でラシェット氏を党首に選出した後の最初の大規模な選挙です。9月の総選挙での戦いを占うと共に、新型コロナウイルスへの対応に対して有権者が不満を表明する選挙となりました。CDUには今後の建て直しが求められそうです。

 

まず、選挙結果をバーデン・ビュルテンベルク州の主要政党の得票率で見ると、第1党となったのは同州で強みを持つ緑の党で、得票率は約33%(前回16年の選挙から+2.3%、以後同じ)、第2党はCDUの約24%(マイナス2.9%)、ドイツ社会民主党(SPD)が約11%(マイナス1.7%)、また自由民主党(FDP)が約10.5%(+2.2%)、極右政党のドイツのための選択肢(AfD)は約9.7%(マイナス5.4%)でした。

 

なお、ラインラント・プファルツ州は同州を牙城とするSPDが35%以上の得票率で第1党となりました。一方与党CDUは同州でも得票率を前回選挙から落としました。

 

CDU不振の背景はドイツのコロナ対策への批判を受けてしまったこと、ラシェット新党首の評価が定まっていないことなどによると見ています。CDUの支持率を見ると、昨年3月から今年1月までは堅調に推移していました。

 

しかし1月以降はCDUの支持率が低下傾向です。今年になり、ドイツのコロナ感染者数が増加したこと、ワクチン接種が遅れていたこと(図表2参照)などが背景として考えられます。

 

日次、期間:2020年12月15日~2021年3月16日、累計 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]欧州の主な国のワクチン接種回数の推移 日次、期間:2020年12月15日~2021年3月16日、累計
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

もっとも、選挙前にCDU議員の不正マスク取引という不祥事が露呈したことが選挙に影響した可能性はありますが、問題はワクチン接種でしょう。ドイツはユーロ圏の中では接種回数は多いですが、英国には遠く及びません。ドイツ保健相は4月からワクチン接種を加速させると表明していますが、接種のペースについての説明はやや慎重なことが気になります。

 

ドイツの9月の総選挙は欧州連合(EU)の実力者であったメルケル首相の後任選びでもあり、ドイツのみならず、EUの今後を占う上で重要な選挙です。いまや外交を反映しているとも見られるワクチン接種ですが、その遅れにドイツ(CDU)の挽回戦略が求められます。その意味で、時期的にも6月に予定されているザクセン・アンハルト州選挙は大切な試金石になりそうです。

 

なお、同州ではCDUが第1党です。また全国レベルでもCDUは第1党の支持を維持しています。総選挙の動向を占ううえで、6月の選挙に注目点しています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ドイツCDU新党首、最初につまずく』を参照)。

 

(2021年3月17日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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