改めて、1.9兆ドル規模の追加経済対策を振り返る

バイデン政権は1.9兆ドル規模となる追加経済対策を成立させました。今回の追加経済対策の特色は直接給付など個人への対応が重視されている点です。トランプ政権が法人税減税を目玉としたことに比べると違いは鮮明です。新型コロナウイルスの影響で深手を負った低所得者層への手厚さが期待される一方で、規模が規模だけに財政赤字の行方も気になるところです。

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1.9兆ドル規模の追加経済対策:バイデン政権、個人重視の法案成立、共和党は反対

バイデン米大統領は2021年3月11日に1.9兆ドル規模(約206兆円)の追加経済対策法案に署名しました。当初は12日に署名の予定でしたが、1日前倒しとなりました。

 

バイデン政権初の大規模経済対策の成立により、多くの個人や企業、州や地方政府に援助資金が行き渡る運びです(図表1参照)。同法案は下院が3月10日に賛成220、反対211で可決し、議会での可決が終了し、大統領に送付されていました。なお、上下両院とも共和党議員は1人も同法案に賛成票を投じませんでした。

 

年次、期間:2005年~2031年、21年以降はCBO推定値、ドットはCRFB 出所:ブルームバーグ、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国救済計画(1.9兆ドル規模概算)の主な内容 年次、期間:2005年~2031年、21年以降はCBO推定値、ドットはCRFB
出所:ブルームバーグ、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:現金給付、米国救済計画、CRFB、財政赤字

バイデン政権は1.9兆ドル規模となる追加経済対策を成立させました。今回の追加経済対策の特色は直接給付など個人への対応が重視されている点です。トランプ政権が法人税減税を目玉としたことに比べると違いは鮮明です。新型コロナウイルスの影響で深手を負った低所得者層への手厚さが期待される一方で、規模が規模だけに財政赤字の行方も気になるところです。

 

改めて今回の追加経済対策の特色を見ると、週末のインタビューでイエレン財務長官が現金給付の支給開始を示唆したように家計支援を重視しています。

 

また、米国救済計画とも呼ばれる今回の追加経済対策は新型コロナウイルスへの対応としてワクチン接種に約160億ドル支出するほか、コロナ対応も手厚くしています。雇用回復に重点を置くバイデン政権は子育て世代の雇用への配慮から教育支援を充実させています。

 

コロナで深く傷ついた低所得者層をサポートすることで貧困の解消が期待される一方で、財政赤字にも注目が集まっています。

 

政治的に中立と言われる米議会予算局(CBO)は2月に昨年末までに成立した900億ドル規模の追加経済対策をベースに米国財政の今後10年の動向を試算しています(図表2参照)。これによると、20年度に財政赤字の規模は3.1兆ドル程度が見込まれています。

 

年次、期間:2005年~2031年、21年以降はCBO推定値、ドットはCRFB ※財政赤字をプラスで表示、CRFBの予想は21年度、22年度のみ表示 出所:CBO、CRFBのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国年度別財政赤字額の実績と予想の推移 年次、期間:2005年~2031年、21年以降はCBO推定値、ドットはCRFB
※財政赤字をプラスで表示、CRFBの予想は21年度、22年度のみ表示
出所:CBO、CRFBのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

ただ、図表2では点線で示したCBOの予想では21年度から財政赤字の規模は縮小が見込まれています。

 

しかし、今回新たに1.9兆ドル規模の追加経済対策が成立したことで、財政赤字の規模の拡大が想定されます。超党派の調査機関「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」が米国救済計画の1.9兆ドル規模を加味した場合、21年度の財政赤字はCBOが算出した2.3兆から、3.4兆ドルに拡大するとしています。22年度も1.6兆ドルと、CBOの試算である1.1兆ドルを上回るとしています。

 

もっとも、23年度以降は米国救済計画を含まないCBOの試算とそれを含むCRFBの試算に大きな違いはなく、支出は年単位で考えるなら、短期的な増加とも見られます。

 

ただ、気になるのは共和党の協力が得られなかったことです。バイデン政権はインフラ投資など更なる経済対策を進める上で、財源問題で共和党と協力関係が不可欠と思われます。経済対策の規模を左右する問題として注目しています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『改めて、1.9兆ドル規模の追加経済対策を振り返る』を参照)。

 

(2021年3月15日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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