メルケル首相の後任選びのプロセス開始

メルケル首相は就任後、リーマンショックや欧州債務危機から最近の新型コロナウイルスへの対応に至るまで欧州の難問に取り組んできました。人により好き嫌いはあるでしょうが、メルケル首相が一目置かれる偉大な政治家である点に異存はない(少なくとも筆者は)と思われます。その後継者に誰が選ばれるかは、今後の欧州の行方を左右する可能性もあり注目が必要です。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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CDU党首選:欧州のリーダー役を担ってきたメルケル首相の後任の有力候補は誰に?

ドイツ与党、キリスト教民主同盟(CDU)は2021年1月16日に党首選挙を開きます(図表1参照)。21年9月の連邦議会選挙後にメルケル首相は政界を引退することを表明しており、新たなCDU党首は次の首相の有力な候補です。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]CDU党首選までの過去の流れと今後の予定(白色) 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

2005年の首相就任以来、欧州連合(EU)の実質的なリーダーとして君臨してきたメルケル首相の後継者選びの前哨戦として、今回の党首選は注目されています。

どこに注目すべきか:メルケル後任、CDU党首、地方選挙、CSU党首

メルケル首相は就任後、リーマンショックや欧州債務危機から最近の新型コロナウイルスへの対応に至るまで欧州の難問に取り組んできました。人により好き嫌いはあるでしょうが、メルケル首相が一目置かれる偉大な政治家である点に異存はない(少なくとも筆者は)と思われます。その後継者に誰が選ばれるかは、今後の欧州の行方を左右する可能性もあり注目されています。

 

まず、メルケル首相の後任について、これまでの流れを簡単に振り返ります。表面化したのは2年ほど前にメルケル首相が21年9月の総選挙で引退を示唆したことです。CDU党首の後任にはクランプカレンバウアー氏が就任しましたが州選挙での敗北などを受け昨年党首を辞任しました。

 

CDU党首選挙は新型コロナウイルスの影響で延期されてきましたが、1月16日に実施される運びとなりました。候補者はラシェット氏、メルツ氏、レトゲン氏の3名です(図表2参照)。下馬評では親メルケル路線のラシェット氏と、保守で反メルケル路線のメルツ氏の一騎打ちと見られています。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ドイツCDU党首選3候補と、その他の首相候補 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

さて、メルケル氏の後任選びのポイントですが9月の総選挙で勝てる党首である必要があります。党首選で投票権を持つのは1001人の各地域の代表者のみです。やはり投票先の決めては総選挙で勝てる党首となりそうです。

 

ただ、今回選出されるCDU党首がすんなり首相に選ばれるとは限りません。図表1にあるように、今年前半には重要州での議会選挙が予定されており、新党首の力量が試されるからです。そのため地方選挙に向け有力な総裁候補を選出する可能性があります。その場合、与党の一角でバイエルン州の地域政党であるCSU(キリスト教社会同盟)のゼーダー党首が有力候補と見られます。

 

ゼーダー氏の全国的な支持率もしくは人気は先のCDU党首3候補を大きく上回ります。その理由はCSUが新型コロナウイルス対策を素早く打ち出し、バイエルン州での新型コロナウイルスの感染抑制に実績があるからです。

 

メルケル首相の後任選びはまだ一山ありそうです。ここで市場への影響を簡単に述べるとラシェット氏ならばメルケル路線の現状維持で影響は小さいと見られます。一方、反メルケルのメルツ氏の場合、保守回帰から財政緊縮路線が想定されます。メルケル首相が合意した欧州復興基金が元に戻ることはないにしても財政拡大が抑制される可能性はありそうです。

 

なお、CDUの支持率は4割を下回っており、与党の単独過半数は見込み難くなっています。その場合連立交渉が想定されますが、前回総選挙(17年)では半年ほどかかっています。仮に政治空白が長期化すれば市場への影響も懸念されます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メルケル首相の後任選びのプロセス開始』を参照)。

 

(2021年1月13日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

 

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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