会社の成長を支援することは経営参謀の醍醐味
この関わり方をベースに、経営参謀として関与する際の5つのポイントについてお伝えしていきます。
ポイント① 経営者の気持ちに寄り添い、熱意を持ってフィードバックする
ポイント② 「成功」の定義の確認
ポイント③ 複数の情報入手経路を確保する
ポイント④ 解決事例を伝える
ポイント⑤ 専門外の分野は他の専門家と連携する
それぞれのポイントについて詳しく紹介します。
①経営者の気持ちに寄り添い、熱意を持ってフィードバックする
まず重要なのが、経営者の気持ちに寄り添い、「この会社の経営を良くしたい」という熱意を持って関わることです。そんなことかと思われるかもしれませんが、多くの場合、経営者は孤独を感じています。会社のことを本気で考えているのは自分だけという状況にあっては、自分の気持ちに寄り添い、熱意を持って会社のことを本気で考えてくれる存在はとても貴重なのです。
そして、気持ちに寄り添いながら経営者の話を深く聴き、課題の本質を引き出す質問をし、その質問に対する回答を整理してフィードバックします。このフィードバックが経営者に大きな気づきをもたらすことも少なくありません。特に知識やノウハウを提供しなくても、この質問とフィードバックをするだけで大きな付加価値を発揮することができます。
私もかつて経営コンサルティングは経営改善の知識やノウハウを伝えることが重要だと思っていました。ただ、経験を積むにつれ、この関わりの重要性に気づくようになりました。
人は一方的に押しつけられる提案と、自分が言ったことを踏まえた提案とでは、後者のほうが受け入れやすいという心理的な傾向があります。そのため、経営者が自ら話したことのフィードバックと合わせて解決策を提案すると、受け入れられる可能性は大きく上がります。
ただ、私の経験上、コンサルタントに新たな知識やノウハウの提供を求めるタイプの経営者と、自分の話を聴いてもらうことを求めるタイプの経営者の2つのタイプがあると感じています。ですので、経営者がどちらのタイプかを見極めたうえで、関わり方を変えていくことも重要になります。
②「成功」の定義の確認
売上と利益を伸ばして、従業員を増やし、会社の規模を大きくする。世間的にはこれが経営者にとっての成功だと思われているでしょう。しかし、会社の規模を大きくして後悔している経営者は少なくありません。
人にはタイプがあり、プレイヤーとしてお客様と関わったり、何かを作ったりすることに向いている人と、人を育て、組織を管理・成長させることに向いている人とがいます。前者の人が従業員を抱え、組織を大きくすると、多くの場合、人の問題を扱うことが苦手なだけに、大きな苦痛を感じるようになります。むしろ少人数の従業員だけで、自分もプレイヤーとして現場で活躍しているほうが幸せだったりします。
会社を大きくし、業績も悪くないのに、「できるものなら今の会社をたたんで、少数の気心知れたメンバーだけでビジネスをしたい」と話される経営者を何人も見てきました。おそらく心の底ではそう思っている経営者は相当いると思います。
ですので、経営参謀として関わる際には、まず「世間的な成功ではなく、あなたにとっての成功とはどのような状況ですか?」と質問をしてみてください。そして、その話をじっくり聴くようにしましょう。
会社の規模を大きくしたいと言うのであれば、「なぜ大きくしたいのか」「大きくして何がしたいのか」について質問してみます。その回答を本人の頭の中で整理してもらうことで、経営することの意義が明確になり、モチベーションも上がります。
成功の定義は人の数だけ違う。このことをまずは意識してください。こういったことに関心を持って話を聴いてくれる人はなかなかいないだけに、この関わりは経営参謀としての大きな付加価値をもたらします。