いま、弁護士や税理士などの士業は過渡期を迎えようとしています。「AIに仕事が奪われる」との声も……。しかし、士業のすべてなくなるわけではなく、人間にしかできない仕事がまだまだあります。AIやITなどの技術革新が続くなか、士業の仕事に付加価値をつける方法を税理士、公認会計士、心理カウンセラーとして活躍する著者が明らかにします。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

売上を増やして利益が出る体質を確立する施策

根本的な売上改善の提案

 

ただ、これらの方策はあくまで一時的なものであり、根本的な資金繰り改善のためには、売上を増やして利益が出る体制を確立することが必要です。そのための手立ては多数ありますが、私がこれまでにした提案の一部をご紹介します。

 

・売上の構成を分析し、売上を伸ばしやすい商品と伸ばしにくい商品を明確にする
・利益率の高い商品と低い商品とに分類し、利益率の高い商品の販売を強化する
・商品の仕入れ先を見直す、あるいは仕入れ先と交渉して原価を下げて利益率を上げる
・ターゲットとなる顧客像を明確にし、そのターゲットに絞った広告を打つ
・客単価を上げるため商品メニューを増やす。メニューが多過ぎる場合は数を絞る
・同業他社の状況を調べ、他社にはない強みを商品の企画に入れる
・消費者心理に基づいて営業マンの営業トークを改善する、モチベーションを上げる
・消費者心理に基づいて商品パッケージ、HP、チラシなどのデザインや文言を見直す
・HPやLPに関してABテストを行い、ウェブからの申込率を上げる
・店舗の外装・内装を見直し、SNSで拡散されやすくするための特徴的なデザインを行う
・接客のトークを改善するため、評価の高い接客係のトークを分析する
・モニター制度やアンケートを実施し、顧客の本音を把握する
・自社の商品と相乗効果が出せる商品を扱っている業務提携先を発掘する
・多くの顧客を紹介してくれる可能性がある人との接触頻度を上げる
・既存の顧客リストを整備して定期的にアフターフォローを行う
・過去の見込み客の掘り起こしを行い、キャンペーンなどのお知らせを行う
・人手不足が売上拡大の障害であれば採用戦略を見直し、募集をかける

 

課題に対してどういう打ち手があるかについては、普段から学びを深め、より広い視点で提案できるようにしておく必要があります。ただ、知っている打ち手を思い付きで話せばよいわけではなく、その会社のビジネスモデルや現状に関していろいろな角度から質問し、課題の本質的な原因を見極めたうえで、打ち手を導き出します。先にもお伝えした通り、精度の高い打ち手を提案できるかどうかは質問力がカギを握ります。

 

藤田耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー

 

 

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経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

藤田 耕司

日本能率協会マネジメントセンター

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