2021年1月分景気動向指数(速報値)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差+1.4で2ヵ月ぶりの上昇、一致CIは+3.5で3ヵ月ぶりの上昇

基調判断「上方への局面変化」へ上方修正。2月分一致CI前月差上昇なら「改善」に

 

 

 

 

●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+1.4と2ヵ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の6系列が前月差プラス寄与度に、新規求人数、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナス寄与度になった。なお、消費者態度指数は今回から(総世帯、原数値)から(二人以上世帯、季節調整値)に変更になった。

 

●1月分の一致CIは前月差+3.5と3ヵ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数、有効求人倍率の8系列全てが前月差寄与度プラスになった。なお、所定外労働時間指数(調査産業計)が労働投入量指数(総実労働時間指数〔調査産業計〕×雇用者数〔非農林業〕)に変更された。但し、速報値段階ではまだ1月分は出ていない。

 

●一致CIの3ヵ月後方移動平均は前月差+0.90ポイント上昇し、7ヵ月連続の上昇になった。7ヵ月後方移動平均は前月差+2.17ポイント上昇し、3ヵ月連続の上昇になった。

 

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、19年8月分~20年7月分は「悪化」の判断だったが、景気の基調判断は8月分で19年5月分~7月分以来13ヵ月ぶりの「下げ止まり」に上方修正された。9月分に続き10月分でも「下げ止まり」で据え置きになった。10月分の前月差は上昇したが、7ヵ月後方移動平均の前月差が小幅の上昇にとどまったからだ。11月分と12月分はともに、7ヵ月後方移動平均の前月差の振幅は大きく条件を満たしていたが、一致CI前月差が下降になってしまった。

 

●1月分で一致CIを使った景気の基調判断が「上方への局面変化」に上方修正された。生産関連の指標がしっかりしていることが反映された。「上方への局面変化」は事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す。上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの7ヵ月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、プラス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差分以上振幅目安の+0.70以上になることが必要だが、一致CIは今回これらの条件を満たした。

 

●2月分で景気の基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正される条件は「原則として3ヵ月以上連続して3ヵ月後方移動平均が上昇かつ当月の前月差の符号がプラス」になることである。3ヵ月後方移動平均は2月分で8ヵ月連続して上昇する可能性が大きい。このため、2月分一致CIが前月差で0.1でも上昇すれば、「改善」に上方修正されよう。

 

●1月分の先行DIは66.7%と景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の6系列がプラス符号に、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がマイナス符号になった。

 

●1月分の一致DIは75.0%と景気判断の分岐点の50%を上回ると予測する。速報値からデータが利用可能な8系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の6系列がプラス符号に、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業の2系列がマイナス符号になった。

 

 

●3月22日発表予定の1月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は3月15日である。また在庫率関連データが3月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●1月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数が新たに加わる。この指数は2つの系列を掛け合わせて作られているが、労働力調査の雇用者数(非農林業)は1月分前月比▲2.7%だ。総実労働時間指数(調査産業計)は毎月勤労統計のデータで1月分速報値の発表日は3月9日である。確報値の発表日は4月6日なので、3月22日発表の景気動向指数・改訂値では速報値が使われよう。生産指数関連データが3月16日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが3月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●2月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列が前月差プラス、中小企業売上げ見通しDI1系列が前月差マイナスである。

 

●また、2月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がプラス符号に、中小企業売上げ見通しDI1系列がマイナス符号になることが判明している。2月分速報値段階の先行DIは33.3%以上88.9%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年1月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2021年3月8日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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