2020年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

実質GDP成長率は前期比年率+11.7%に第1次速報値+12.7%から下方修正

 

民間設備投資は前期比+4.3%に下方修正、公共投資は同+1.5%に上方修正

 

民間在庫変動の前期比寄与度が第1次速報値▲0.4%から▲0.6%に下方修正

 

 

●20年10~12月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比+2.8%、前期比年率+11.7%となり、第1次速報値の前期比前期比+3.0%、前期比年率+12.7%からやや下方修正となった。新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が停滞した4~6月期から大きく持ち直した7~9月期に続いて2四半期連続の2桁のプラス成長であることに変わりはなかった。法人企業統計などを受けて修正された。

 

●実質GDP季節調整値は1~3月期545.7兆円、4~6月期500.4兆円、7~9月期526.8兆円の後、10~12月期で541.6兆円となった。差額を採ると、前期差は4~6月期▲45.3兆円、7~9月期+26.4兆円で、10~12月期+14.8兆円ある。7~9月期と10~12月期を合計した戻し分は+41.2兆円で4~6月期の下落分の91%と、約9割り戻したかたちである。

 

●20年10~12月期名目GDP成長率・第2次速報値は前期比+2.3%、前期比年率+9.6%となり、第1次速報値の前期比+2.5%、前期比年率+10.5%から下方修正となった。名目GDPの季節調整値は551.1兆円である。直近のボトムだった4~6月期の510.7兆円から2四半期連続で戻したものの、直近のピークだった19年7~9月期の564.2兆円から13.1兆円低い水準である。

 

●10~12月期の個人消費・前期比は、第1次速報値と同じ+2.2%になった。

 

●10~12月期の実質住宅投資は前期比+0.1%から前期比0.0%へと0.1ポイント下方修正となった。

 

●10~12月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の+4.5%から、第2次速報値では同+4.3%へと下方修正された。

 

●10~12月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.6%と第1次速報値の▲0.4%から下方修正された。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.0%で第1次速報値0.0%とやや下方修正された。流通品在庫は前期比寄与度▲0.3%で第1次速報値の▲0.3%と同じであった。原材料在庫前期比寄与度は仮置き値だった第1次速報値の▲0.1%から▲0.2%に0.1ポイント下方修正。同じく第1次速報値は仮置き値の仕掛品在庫前期比寄与度は0.0%から▲0.0%へやや下方修正された。

 

●10~12月期実質政府最終消費支出は前期比+1.8%で第1次速報値の+2.0%から下方修正になった。一方、10~12月期実質公共投資は第1次速報値の+1.3%から+1.5%に上方修正となった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%で第1次速報値の▲0.0%と変わらなかった。公的需要全体の前期比寄与度+0.5%で第1次速報値+0.5%と同じになった。

 

●10~12月期の外需(純輸出)の前期比寄与度は第1次速報値の+1.0%から0.1%ポイント上方修正の+1.1%になった。実質輸出の前期比+11.1%で第1次速報値の+11.1%と同じ前期比であったが、控除項目の実質輸入の前期比が+4.0%で、第1次速報値の+4.1%から0.1ポイント下方修正となったからだ。

 

●10~12月期のGDPデフレーターの前年同期比は+0.3%で第1次速報値の+0.2%からやや上方修正となった。国内需要デフレーターの前年同期比は▲0.6%で第1次速報値の▲0.6%と同じであった。

 

●10~12月期第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であったが、第2次速報値では同▲0.4%へと下方修正になった。この内訳に関しては雰囲気しか教えてもらえないが、第1次速報値では4項目で一番大きなマイナス寄与は製品在庫、次に大きなマイナス寄与は流通品在庫、そして原材料在庫が続くということだ。仕掛品在庫だけがプラス寄与ということだった。法人企業統計のデータが加わった第2次速報値では4項目で一番大きなマイナス寄与は製品在庫、次に大きなマイナス寄与は原材料在庫、そして流通品在庫が続くということだ。仕掛品在庫だけがプラス寄与ということだった。

 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+8,650億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+2,189億円である。

 

●「令和3年度の経済見通し」の20年度実質GDP成長率実績見込み・前年度比▲5.2%を達成するには、20年度残り1四半期で前期比年率▲10.5%(前期比▲2.73%)が必要である。19年度から20年度へのゲタは▲1.3%である。なお、20年度残り1四半期の1~3月期は緊急事態宣言再発出されたためマイナス成長が見込まれている。1~3月期が前期比▲2.0%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲5.1%のマイナス成長になる。前期比▲1.0%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲4.8%のマイナス成長になる。仮に前期比0.0%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲4.6%のマイナス成長になる。

 

 

●5月18日に公表される1~3月期の実質GDP第一次速報値を1月のデータから考察してみる。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の1月分対10~12月平均比は+0.6%の増加になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+0.5%の増加だ。一方、商業販売額指数・小売業の1月分対10~12月平均比は▲1.7%の減少になった。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1月分対10~12月平均比は▲8.0%の減少である。乗用車販売台数の1月分対10~12月平均比は▲2.0%の減少となった。GDP統計の実質個人消費(家計最終消費支出)と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)10~12月から1~3月期へのゲタは▲1.7%の減少である。総合的に考えると、1~3月期の個人消費は、前期比で3四半期ぶりの減少になる可能性が大きいとみられる。

 

●設備投資の関連データである資本財(除、輸送機械)出荷指数の1月分対10~12月平均比は▲5.7%の減少になった。一方、建設財は同+0.2%の増加になった。総合的に考えると、最終的に供給サイドから推計される1~3月期第1次速報値の実質設備投資は前期比減少になる可能性が大きいとみられる。

 

●実質輸出入の動向をみると輸出の1月分対10~12月平均比は+3.9%の増加になった。控除項目の輸入は同+3.2%の増加になっている。1月のモノ分だけでみると、1~3月期の外需の前期比寄与度はプラスになる可能性があると判断できる。

 

●2月のESPフォーキャスト調査では1~3月期は前期比年率▲5.47%となるのが、平均的見通しである。減少率が大きい方の8人の平均は前期比年率▲8.63%で、減少率が小さい方の8人の平均は前期比年率▲2.36%だ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について』を参照)。

 

(2021年3月9日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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