2020年10~12月期法人企業統計・設備投資などについて

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前期比▲1.4%、前年同期比▲6.1%

10~12月期GDP第2次速報値で設備投資、在庫変動ともほぼ第1次速報値と同じか

 

 

●20年10~12月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は▲6.1%と、7~9月期の前年同期比▲11.6%から5.5ポイント伸び率が改善した。7~9月期で前年同期比▲11.4%の減少だった製造業は、10~12月期では同▲10.7%と減少率がやや縮小した。非製造業は7~9月期で前年同期比▲11.6%の減少だったが、こちらは10~12月期で同▲3.4%の減少と8.2ポイント伸び率が改善した。

 

●10~12月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は▲1.4%と3四半期連続減少した。製造業は▲3.6%と8四半期連続減少した。非製造業は▲0.3%と3四半期連続の減少になった。

 

●なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は10~12月期で▲0.3%と3四半期連続の減少になった。製造業は▲2.3%と3四半期連続の減少に、非製造業が+0.7%と3四半期ぶりの増加になった。

 

●法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で10~12月期の全産業の前年同期比は▲4.8%で7~9月期の▲10.6%と比べ5.8ポイント伸び率が改善した。資本金別の内訳をみると、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は▲1.0%と、7~9月期の▲11.0%から10.0ポイント改善した。一方、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は▲13.3%と、7~9月期の▲7.3%から6.0ポイント悪化した。また、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は▲6.6%の減少で、7~9月期の前年同期比▲12.1%からは5.5ポイント減少率が縮小した。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した10~12月期GDP第1次速報値では、前期まで新型コロナウイルスで先行きが不透明な中、企業が慎重になっていた名目設備投資の前年同期比は▲3.7%と5四半期連続の減少になったが、7~9月期の▲11.1%の2ケタ減少からは7.4ポイント減少率が縮小した。法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は7~9月期から10~12月期にかけ5.5ポイント改善した。

 

●10~12月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、10~12月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+8.4%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+1.7%であると公表されているが、10~12月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+1.9%となり、仮置き値より0.2ポイントだけ高い増加率になった。一方、断層補正が下方修正要因になるとみた。

 

●10~12月期GDP第2次速報値の設備投資では、主に法人企業統計からみる需要側推計値はやや上方修正要因、またソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動向調査12月分確報値からみてやや上方修正要因になるとみた。但し、断層補正が下降修正要因となり、上方修正要因を相殺すると見た。総合的に判断し前期比+4.5%程度と第1次速報値の同+4.5%と同程度の伸び率になるとみた。

 

(民間在庫変動)

 

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると20年10~12月期は3兆2,957億円で19年10~12月期の3兆1,577億円から+1,380億円の増加となった。また、原材料・貯蔵品在庫は20年10~12月期は▲200億円で19年10~12月期の4,482億円から▲4,682億円の減少となった。合わせて▲3,302億円、前年同期に比べ減少した。

 

●一方、20年10~12月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は1兆780億円で19年10~12月期の1兆4,370億円からは▲3,590億円の減少であった。20年10~12月期GDP第1次速報値で在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなマイナス寄与は製品在庫、次に大きなマイナス寄与は流通品在庫、そして原材料在庫が続くということだ。仕掛品在庫だけがプラス寄与ということだ。

 

●今回の法人企業統計を受けて、GDP第2次速報値で、今回の法人企業統計はGDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値と同じ▲0.2%程度になりそうだ。

 

(20年10~12月期GDP・第2次速報値予測)

 

●3月9日に発表される20年10~12月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動などを中心に改定される。

 

●20年10~12月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比+4.5%程度と第1次速報値の同+4.5%とほぼ同じ伸び率と予測した。また、実質民間在庫変動の前期比寄与度は▲0.4%程度と、第1次速報値の▲0.4%とほぼ同じとみた。

 

●また、公共工事出来高の前年比は10~11月分平均が+6.1%だったが、10~12月期の前年同期比は+6.6%と伸び率が拡大した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は+1.6%程度の増加と第1次速報値の+1.3%の増加から上方修正されるとみた。

 

●20年10~12月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+3.1%程度、前期比年率+12.8%程度と予測する。第1次速報値の前期比+3.0%程度、前期比年率+12.7%から僅かな上方修正を予測する。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年10~12月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2021年3月2日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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