2021年2月14日、ニュージーランドのアーダーン首相は記者会見を行い、新型コロナウイルスの感染者3人が出現したことを理由に、オークランドで15日から3日間にわたるロックダウンを実施すると発表しました。しかし、市民生活が厳しく規制される一方、ニュージーランドの不動産マーケットはまれに見る活況で、慢性的な「売物件不足」が続いています。オークランド在住で不動産会社を経営する筆者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。

金利はついに2%台へ、住宅購入のハードルも低下

住宅ローンの状況ですが、芸罪は金利が下がり、2%台に突入しました。そのため、ファーストホームバイヤーにとっては購入しやすく、チャンスが広がっています。

 

オークランドの平均値である100万ドル台の物件は、そう簡単に購入できないため、アパートメントやタウンハウスといった集合住宅への注目が集まっています。

 

たとえば、ノースショア地区にある80万ドル台のタウンハウスです。近隣の賃貸物件で暮らしている20代後半から30代の若い世代のシングル、カップル、家族層が注目する物件で、広さは140m2程度、3つのベットルーム、ガレージ付き。近隣にはスーパーマーケットがあるほか、ショッピングモール、高速道路へのアクセスも便利で人気があります。

 

「シティのアパートに住んでいるが、一戸建て感覚の自宅がほしい」と検討する高齢のお客様のほか、「100万ドル以上は手が届かないが、80万ドル台ならなんとか…」という投資家の方にも人気があります。メンテナンスが簡単で、テナントもつきやすいからです。こういったファミリー層や投資家の競合が発生しているのです。

不自由を強いられる状況が、一部業界を潤している!?

通常、オークション売りなら当日に契約が成立しますが、集合住宅の場合は、若い世代や投資家への売却が多いため、調査する内容が多岐にわたり(もちろんオークション売りでも実施しますが)、ローン申請に時間がかかります。それにより、バイネゴシエーションまたは、定価付けで売るケースが多くなっています。

 

複数のオファーが来た場合は、「マルティプルオファー」といって複数の買手と面談して交渉を進め、その後に家主との最終交渉へと進むことになります。そのため、いつもの2倍、3倍といった時間をかけて商談を行うことになります。

 

1回で商談が進む場合も多いのですが、複数のオファーがあっても受け入れられず、再度仕切り直しとなるケースもたまにあります。

 

「3組のオファー者全員に契約を戻したあと、再度検討してもらって〈ベスト・オファー〉を持ってくる」という駆け引き・仲介こそ、われわれの腕の見せどころになります。記事をタイプしている最中にも、同時に2軒のオファーが来たところです。

 

1軒は今夜にも家主様との面談が、もう1軒は地方在住の買主様とZoomによる面談を調整中です。加えて別の1組とも面談予定があり、明日か明後日には、家主との交渉を進めることになるでしょう。

 

新型コロナウイルスの感染拡大によってロックダウンするも、ニュージーランド不動産のマーケットの勢いは止まりません。むしろこの状況が強い追い風となっています。同様に、印刷(看板・パンフレット制作)、レンタル家具業者、広告宣伝に関係する業界も賑わい、経済に貢献しています。

 

現状では、買手と売手のバランスが維持できず「売り物件不足」が起こっている状況です。「売るならいま」と声をかけ、日々営業をしています。

 

そのことからも、タウンハウス開発の事業は貴重です。われわれも、宅地開発を推進する市・国の動きと連動し、日夜アンテナを張って新規の「売り物件」探しに奮闘しています。

 

 

一色良子

ニュージーランド在住不動産エージェント

 

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