家族信託なら「自分に関わるお金」を子が引き出せる
ここからちょっと難しいお話をします。
たまに必要になる“合鍵”なら、今でもあります。「委任――代理」という方式です。ある人(Aさん)が別の人(Bさん)に事務を委任することによって、BさんはAさんの代理人として事務をする。父が娘に「私の代わりに○○万円をおろしてきて」と委任状を書いて、通帳と印鑑を持たせて銀行に行ってもらう、というのが典型的な例です。
こういう代役は、Aさんが元気なうちなら何の問題もなく立てることができます。
ところが今は超高齢社会で認知症多発時代です。そもそも「委任――代理」の前提は「委任する人に意思能力があること」ですから、認知症などでそこが怪しくなってくると合鍵は成立しなくなってしまいます。
しかも父がほしいのは「臨時の代理人」ではなく、恒久的な自分の“分身”です。意思能力も判断能力もある今のうちに、将来衰えるかもしれない自分のために自分の意思に沿って事務をしてくれる人を見つけたいのです。これは、“ないものねだり”に近い、とても難しい要望です。
ところがそれに近いことが、昔はできたんですよ。「家督相続」という旧民法(明治31 年~昭和22 年)が認めていた相続制度です。この制度では、戸主(その家の家長)が亡くなると長男ひとりが全部の遺産を継承・相続します。現在の感覚からすればとても不公平。
ただ、ユニークな点がひとつありました。“隠居”という制度です。
家督相続の時代、家長はすべての財産を相続する代わりに、一族の面倒をみるという暗黙の了解がありました。責任重大。神経を使う。だから高齢になると『そろそろ私の役目は終わりにしたい、若い者に家督を譲ろう』ということが許されていたのです。自発的な代替わりですね。この代替わり、ほとんど税金がかからず行うことができました。
戦後は民法が一変して、相続でも平等主義を貫くようになりましたから、家族の誰かに家督を譲って隠居するなどという制度は消えてしまいました。今それを実現しようとすると、高い贈与税がかけられて損をします。だから誰もそんなことはしない…。ということなんですが、「家族信託」を使うとこの“隠居制度”を、よい意味で復活させることができます。
イラストで父は「財産管理を全部(娘に)任せたい」と言っています。これに対し娘は「信託すると財産は私の名義に換わるの」と説明しました。しかもこの財産移転について贈与税は一切かかりません。これってまさに隠居の実現です!
ただ、少し違うところがあります。隠居は全財産を次世代に譲ります。だからご隠居さんは、気楽にはなるけれど、金銭的にはキュークツ。家族信託はそこが全然違います。
財産の管理権は「名義」が移ったことで、受託者である娘が完全に握ります。ところが受託者はその財産を自由に使えるわけではなく、財産がもたらす利益のほぼ全部を受益者のために使います。耳慣れない「受益者」という言葉を、ここでしっかり覚えておいてください。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!