認知症になる高齢者の数が増加しています。銀行は、認知症になった家族に「成年後見人」になって財産管理をするようにすすめるケースが多いですが、良かれと思ってかも知れぬこの行動には大きな勘違いがあります。これまで、数多くの認知症家族の問題解決にあたってきた行政書士が解説します。※本連載は、石川秀樹氏の著書『認知症の家族を守れるのはどっちだ!?成年後見より家族信託』(ミーツ出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
家族が「後見人」になれる割合は20%台まで低下
法定後見人に誰がなれるのかという論点は重要なので、少し詳しく説明しておきましょう。
と言うのは、成年後見の審判開始を申し立てる人の多くが、今でも「自分または家族の誰かが成年後見人になれる」と思っているからです。まったくのあやまりです。
家族が後見人になれる時代は終わりました。あなたはミスリードされています。
まず銀行の窓口。お金の処理はテキパキ素早く、あやまりなくやってくれますが、こと成年後見制度については“勉強不足”です。認知症の親を連れてくる家族がいると、マニュアル通りに「その場合は、あなたが成年後見人になってください」などと言ってしまいます。
銀行の窓口で言われたように、あなたが成年後見人になれるのは、せいぜい20%台。専門職後見人と家族後見人の1年ごとの推移をにグラフとして示しました。
最高裁判所が毎年5月に発表している「成年後見関係事件の概況」という統計資料から、「後見人(成年後見人・保佐人・補助人)に誰がなっているか」を抜き出し、著者が作ったグラフです。
成年後見制度が発足した2000年(平成12年)当時、この制度は間違いなく、後見人としては「家族」を当てにしていました。
その名残か、今あなたがインターネットで「成年後見制度」と検索すると、裁判所関係者系の資料の大半は「家族後見人に向けての注意書き」になっているはずです。これは“世論操作”や“誘導”などというものではなく、ただの怠慢です。昔はネットの資料も(グラフが交差する平成24年ころまでは)あながち的外れな解説ではなかったのです。
【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション
静岡県家族信託協会 代表・ジャーナリスト・行政書士
1950年静岡市生まれ。早稲田大学第一政経学部卒。静岡新聞記者40年、元編集局長。62歳で相続専門の行政書士開業。2016年に家族信託に出会う。同時に成年後見制度を知ることとなり、記者として家族として疑問に思うことが多く、2018年7月静岡県家族信託協会を設立。『静岡県家族信託協会のブログ』で晩年の諸問題について解決法を提起している。
1950年静岡市生まれ。1973年3月、早稲田大学第一政経学部卒業。1973年4月、静岡新聞社に入社、その後編集局長に。2012年8月、新聞社退職後、行政書士に。2016年3月、家族信託を手掛け普及に乗り出す。2018年5月、静岡県遺言普及協会を設立。2018年7月、静岡県家族信託協会を設立。2019年4月、『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』出版。2022年10月、『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』 出版。
◆静岡県家族信託協会(ホームページ)
◆ジャーナリスト石川秀樹(Facebook)
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載専門家が解説!認知症になってもお金に困らないため「家族信託」活用法