超高齢化社会の日本では、認知症になる人が増えています。不正防止の観点から、認知症とわかると預金者の口座を凍結して「成年後見制度」をすすめてくる銀行もありますが、他に選択肢はないのでしょうか? 今、「家族信託」を使った認知症対策が注目されています。「家族信託」とは何なのか? その仕組みとメリットについて解説します。※本連載は、石川秀樹氏の著書『認知症の家族を守れるのはどっちだ!?成年後見より家族信託』(ミーツ出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
「家族信託は自分の“分身”をつくる仕組み」の意味
「家族信託とは何か」について昨年パンフレットを作ったとき、載せたイラストが以下のものです。
「あなたの“分身”をつくる仕組みです。」がキャッチコピー。左側が父で「委託者」そして当初の受益者でもあります。真ん中は母、「2番目の受益者」になる人。そして右は娘、家族信託の主役となる「受託者」です。
筆者の頭の中にあったのは、実は合鍵(スペアキー)のイメージでした。鍵を持たずに出かけたある日、帰宅するとあいにく家人が留守。締め出された筆者は、『車には1本スペアキーを置いていた』と思い出しました。ところがこの日は徒歩で駅に向かったため万事休す。目の前に家があるのに長時間の待ちぼうけとなりました。
この状況、高齢になって判断力が落ちたり、認知症になってお金の管理ができなくなる場合と似ているなあ、と思ったのです。
〈しまっておいたお金はどこ⁉ 絶対にあるはずなのに。私は今、何をしようとしてここにいるの⁉ 自分のことなのに、何もわからない…〉
日常のごく当たり前のことができない、思い出せない。何をするにも自信がない。こういう不安な状態はつらいですよね。でも、しっかりした自分の“分身”がいればどうでしょう、安心できるのではありませんか?
その分身をつくろうよ、というのが「家族信託」の発想です。自分に欠けた部分を助けてくれる合鍵を作っておこうよ。イラストに鍵は出てきませんが、会話で表現しているのはそういうことです。
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静岡県家族信託協会 代表・ジャーナリスト・行政書士
1950年静岡市生まれ。早稲田大学第一政経学部卒。静岡新聞記者40年、元編集局長。62歳で相続専門の行政書士開業。2016年に家族信託に出会う。同時に成年後見制度を知ることとなり、記者として家族として疑問に思うことが多く、2018年7月静岡県家族信託協会を設立。『静岡県家族信託協会のブログ』で晩年の諸問題について解決法を提起している。
1950年静岡市生まれ。1973年3月、早稲田大学第一政経学部卒業。1973年4月、静岡新聞社に入社、その後編集局長に。2012年8月、新聞社退職後、行政書士に。2016年3月、家族信託を手掛け普及に乗り出す。2018年5月、静岡県遺言普及協会を設立。2018年7月、静岡県家族信託協会を設立。2019年4月、『認知症の家族を守れるのはどっちだ!? 成年後見より家族信託』出版。2022年10月、『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決』 出版。
◆静岡県家族信託協会(ホームページ)
◆ジャーナリスト石川秀樹(Facebook)
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連載専門家が解説!認知症になってもお金に困らないため「家族信託」活用法