予備校が公表している合格率が8割から9割超えになる仕組みや、医学部専門予備校の授業料が超高額になる理由など、医学部専門予備校にまつわる問題点を医学部専門予備校の経営者である長澤潔志氏が解説します。

予備校のうたう合格率を信じてはいけない

次に信じていけないのは、予備校の言っている合格率です。これには本当に嘘が多い。どう考えても、8割や9割の、ましてや100%の生徒が、特に医学部の場合、合格などするわけがないのです。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

ある顕著な例をお教えします。

医学部専門のD予備校に15人の生徒がいました。話は脱線しますが、1年で15人の生徒で商売が成り立つのですから、「どれだけお金を取っているのだ」という話になります。

 

それはさておき、ある年の話ですが、実際に合格したのは3人でした。5分の1ですから合格率はどう考えても20%です。ところがここからが数字のマジックです。

 

合格した3人というのは、優秀です。偏差値は65を超えています。こういう生徒はいくつもの大学に受かるのです。ここで、3人がそれぞれ5校、3校、5校と受かりました。全部で13校受かったことになります。

 

もうお分かりだと思いますが、15人の生徒がいて、合格した大学の数が13校。これで「合格率86%」になるのです。

 

あるいは、頭のいい子が、夏期ゼミナールとか合宿だけ参加したとします。その子がどこかの大学の医学部に受かれば、たった1週間だけ在籍していた子であっても、それも合格です。

 

その子が東大の医学部に受かれば、当然、「東大の医学部に受かりました!」と宣伝するわけです。確かに、全くの嘘ではありません。しかし、実は関東の予備校が発表する医学部合格者数を合計すると、医学部定員の10倍にもなるのです。ここまでくると、笑ってばかりもいられません。

 

東京にあるM予備校では、14人の生徒で合格はたったの1人でも合格率85%。またI予備校では100%の合格をうたっています。そのマジックは、こうです。

 

1年間通った生徒に聞いた話です。全体40〜50人中、合格できそうな順にクラス分けをするのです。それでAクラスは100%合格。その数字を宣伝します。Aクラスにはもともと、合格しそうな4〜5人を割り当てたのですから、100%も当たり前なのです。

 

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医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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