納税資金対策を怠ると従来の財産を失うことも…
【相続の三原則】その②「納税資金対策」
第二に着手すべきが「納税資金対策」です。
相続となると、どの財産をいくら相続するかに関心がいきがちですが、その後に伴ってくるのが納税義務です。ここの対策をしっかりと練っておかないと、相続した財産だけでなく、最終的に個人の財産をも納税にあてるハメにもなりかねません。
作業としては、遺産分割案が決まったら、相続税の総額、各相続人の相続税の負担額が試算できます。ここで、相続する現預金から支払えれば問題ありませんが、もし足りなければ、相続人自身の貯えから払うのか、不動産を売却して納税にあてるかなどを検討する必要があります。
大切なのは長期的視点で対策を講じることです。
たとえば、不動産の売却で資金を作る際にも、相続財産として売却すれば、取得費加算の特例があり、譲渡税の圧縮ができます。しかし、相続人が相続前から所有していた不動産を売却した時には特例がなく、譲渡税を支払った後の残額で、相続税を払うことになります。
ちょっとしたことですが、時期一つ、あるいは何をどう売るかの判断一つで、手元に残るお金には大きな差が生じるのです。
もちろん、相続税を払えればそれで終わりではなく、相続後の安定した生活の実現を念頭に入れて、対策を検討する必要があることは言うまでもありません。相続申告後の生活に困ってしまうような納税方法も注意が必要です。収入源が大きく減少したり、現金が枯渇してしまうような納税方法は、木を見て森を見ず、森を見て山を見ず、のようなものです。
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