なによりも大切な、相続対策の前提になること
まず、具体的な相続対策の話に移る前に申し上げておきたいことがあります。それは、「万人に適した王道の相続対策はない」ということです。
では、自分に合った相続対策をいかに講じるか。その大前提の作業が、現状を知り、将来どうなりたいかを描くことです。
まず、将来の行き先「理想のゴール」を見定めましょう。ドライブと同じで、現在地を確認し、目的地を決めれば、ルートが決まってきます。ゴールさえ決めれば、途中で税制改正や時流の変化を受けての軌道修正があったとしても、行く道が変わってくるだけで、目指す理想との大きなブレは生じないはずです。
自分の財産は意外と把握しきれていない?
次に大事なのが、今どこにいるのか。現状を知る、つまり財産の棚卸しです。自分がどんな財産を持っているのかを把握しない限り、適切な対策を検討することもできません。土地・建物等の不動産、現金、預貯金、株式などのほか、被相続人が保険料を負担していた生命保険金、死亡退職金なども、「みなし相続財産」として相続税の対象となります。
財産の概要を押さえたら、そこから予測される相続税額を算出していきますが、ここでハードルとなるのが土地の評価です。条件や評価減の適用により評価額が大きく異なるので、ここは不動産に強い専門家に依頼するのがベターでしょう。
現在の財産内容や相続税額が把握できたら、家族の将来の夢や希望も併せ考え、理
想とする将来設計に移ります。その上で、もしも描くゴールに到達することが難しいとなれば、どこが問題点なのかをあぶりだし、現実的な対策を再度考え直せばいいのです。相続対策は、早めに着手することが肝要とはいえ、焦りは禁物です。
〝急がば回れ〟。まずは、自分が今いる場所(現在)と、向かうゴール(未来)をしっかり押さえ、家族にとっての理想の設計図を描くことが先決と心得てください。
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