新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ステイホームが呼びかけられる昨今。通販などのサービスを利用することが増えた方も多いのではないでしょうか。加えて、東日本大震災や熊本県を中心に襲った豪雨を受けて、物流ネットワークの重要性にも近年注目が集まっています。本連載では、「物流」の歴史を紐解きながら、物流会社がどのような役割を果たしているのかについて見ていきます。今回は江戸時代から明治初期までの変遷を中心に解説します。

江戸時代の物流、主役となったものとは?

日本の物流の起源を明確に遡るのは、容易ではありません。商売としてモノを運んでいたという点でいうと、600~900年代の律令時代にはすでに「飛脚」が存在したようです。

 

飛脚が本格的に各地をつなぐようになったのは江戸時代で、東京―大阪間を3日で走破していたとの記録があります。これはもちろん一人の力ではなく、中継をしながら複数の飛脚が走っていました。例えば江戸幕府の公用飛脚だと、東海道に57の中継地点をもち、一人が走る距離は10キロメートルほどだったそうです。

 

人力では、そこまで大きなものは運べません。飛脚は主に手紙や書類、小物を扱い、荷物が多い場合には馬の背に載せて運んでいました。

 

江戸時代、街道沿いには「宿駅」と呼ばれる宿場があり、荷物を運ぶための人や馬が集まっていました。公用の書状や荷物などは、宿駅ごとに人馬を交代して運んでいました。

 

なお、江戸幕府を開いた徳川家康は全国の街道の整備を始めましたが、それはあくまで「人馬が歩ける」というレベルにとどまっていたようで、石畳を含む舗装道路はほとんど整備されませんでした。また、幕府が街道での車両の使用を禁じたのもあり、車両交通が長らく発達せず、江戸時代には荷馬車や荷車が本格的に普及することはありませんでした。

 

では、米俵や木材といった大荷物はどのように運んでいたのか。

 

主役となったのは、船でした。

 

江戸時代には、海船と川船の交通網が全国に広がり、河口の多くに港が置かれました。北海道から日本海沿岸の港を経由して大坂に着くような長距離輸送も行われており、物流において江戸時代はまさに「水運の時代」であったといえます。

明治期の日本…郵便局所の開設と鉄道の開通も

1868年、明治維新により江戸が東京に改称され、年号も明治に改元。300年近く、栄華を誇った江戸幕府の崩壊で、時代は大きく動きます。

 

幕末の激動を乗り越え、物流もまた新時代を迎えました。

 

1871年には、前島密によって飛脚に代わる近代的な郵便規則が定められました。東京、京都、大坂の3都市に郵便局所が開設され、郵便切手の発行も開始。「郵便」という現在の名称は、このときに誕生したものです。

 

そしてその翌年、新橋―横浜間で、日本初の鉄道が開通しました。明治政府は、「文明開化」の大号令のもと、道路作りと鉄道の建設に着手しており、2年6カ月を費やして蒸気鉄道を完成させました。なお、建設にあたっては、機関車、客車、線路や枕木などをイギリスから輸入し、技術者も招聘したといいます。ちなみに鉄道が開通した10月14日は、「鉄道の日」と定められています。

 

鉄道開通とほぼ時を同じくして誕生したのが、現在の日本通運株式会社の前身である「陸運元会社」です。元来飛脚問屋の仕事であった郵政事業を国営化する代わりに、荷物を運ぶ運送業を飛脚問屋に任せるということで、飛脚問屋により設立されました。

 

陸運元会社は以後、全国各地に出張所、取扱所を設置し、日本の陸運業の主軸となります。ちなみに陸運元会社は旅行斡旋業も手掛け、各地の旅館と提携して客に宿を斡旋するほか、手荷物の配送サービスを行っており、それが現在の宅急便の先駆けともいえます。

 

この頃、横浜の馬車道には日本初となるガス灯がともりました。文明の象徴を一目見ようと、連日多くの見物人が集まったといいます。

 

「おお、これが噂のガス灯か!」

「なんとまあ、明るいことよ」

 

それまで夜は真っ暗であるのが当たり前でしたから、人々は闇夜を照らす文明開化の灯の明るさに、さぞ心動かされたことでしょう。

 

ただ、ガス灯が設置されたのはごく一部にすぎず、多くの街道はまだまだ物騒だったようで、郵便飛脚にはピストルの携帯が許可され、武装して手紙を運んでいたそうです。

 

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