進歩する技術を「敵に回す」のではなく「使う側に」
行政書士事務所の業務効率化の例
行政書士の石下貴大氏は、契約書のレビューをAIが行うAICONというサービスを活用して契約書のチェックやダブルチェックの時間を大幅に削減し、許認可申請業務や法人設立業務などについては、業務ごとの単純作業をRPAにより自動化し、効率化と低コスト化のための体制を作っています。契約書の締結については、自社で開発した電子契約書システムを活用することで、コストを削減しています。
また、事務所には在宅や子育て中のスタッフもいるため、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)システムというツールを活用しています。このシステムにスタッフが各案件の進捗を入力し、各業務の進捗状況を可視化することで、業務を効率化できています。また、許認可の期限管理や法人役員の任期管理などを半自動化でき、許認可の更新や役員の重任登記の通知を漏れなく網羅的に行えるようにしたことで、その提案に要する時間が大幅に短縮できています。
自動化されやすい単純作業に追われて、自動化しにくい業務に着手できない状況が続けば、業界相場の低下から利益を出すのが難しくなります。
単純作業は新しい技術で効率化、低コスト化して、相場が下がっても利益を出せる体制を整え、効率化で捻出した時間を自動化されない業務に充てる──こうした体制作りをいち早く作れた士業事務所が、今後の時代は有利にビジネスを展開するでしょう。そのためにも、加速度的に進歩する技術を「敵に回す」のではなく、「使う側に回る」ことが重要な戦略になります。
藤田耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
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