士業で生き残る…「経営参謀」の付加価値
変化し続けることが求められる時代へ
これまで士業の市場は他業界に比べて、比較的安定した状態だったといえます。
会社設立時の法人設立登記や税務申告書の作成・提出、監督官庁の許認可の取得など、制度として義務づけられている手続きをサービスとしている士業の仕事は、「買わなければならない商品」という性質を持つため常に一定の需要が存在し、さらに資格によって参入障壁が設けられています。そのため、お客様や他の士業からの紹介などで十分な収入が得られることも多かったため、他業界のようにマーケティング戦略をそこまで緻密に考える必要もありませんでした。
ところが、技術の進歩によって手続き業務は自動化される可能性が出てきており、ウェブの発達によって情報格差がなくなるにつれて、価格競争は激化の一途をたどり、士業の市場も安定した市場とはいえなくなりました。
今後もさらに技術が進歩すれば市場はさらに変化し、じっとしていれば取り残され、競合との差は広がり、一度できた差を取り返すことが困難になると淘汰されます。こうした激動の時代においては、流れを見極めて具体的なアクションを起こし続けることがむしろ最も安全な戦略といえるでしょう。
作業者から参謀へ
技術の進歩によって単純作業が自動化されていく今後の時代においては、士業はお客様との関わり方を「作業者」から「参謀」へと変化させていくことが必要になるでしょう。「参謀」の定義はさまざまなものが考えられますが、ここでは「相手が達成したい目的をより深く把握し、そのための手段を幅広い視点から提案し、達成を支援する人」と定義します。
そして、「参謀」は士業としての専門分野のコンサルティングから始めて、さらに経営の上流に関与し、経営のコンサルティングを行うようになると「経営参謀」となります。
報酬の単価も、作業者より参謀、参謀より経営参謀が高くなる傾向にあります。作業者の仕事は自動化によってなくなる、または相場が著しく下がることが懸念されるため、参謀、さらには経営参謀として付加価値を発揮する事業戦略が、士業として生き残っていくうえで重要となるでしょう。