
「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。
100万円の利益。「株」と「ビットコイン」得なのは?
正解:ビットコインは、税金面では最悪
投資をする場合、税金のしくみを理解しておくことはとても大切です。
金融商品に投資し、高く売却できたとしても、利益にかかる税金のことを考えると、思ったほど手元にお金が残らないということにもなりかねません。

とくに認識しておきたいのは、同じ投資であっても、その中身によって税金の扱いが異なるという点。設問に掲げた株式とビットコインの違いは、その最たるもので、現在のルールでは株式にはさまざまな優遇制度が用意されている一方、ビットコインなどの仮想通貨に対する扱いはひじょうに不利です。
その理由はいくつかあります。まず理解しておきたいのは、株式投資が「申告分離課税」であるのに対して、ビットコイン投資は「総合課税」であるという違いです。
ここまでに説明してきた、給与所得や事業所得、雑所得は総合課税に区分されます。このカテゴリーに入ると、各所得が合算され、5〜45%の税率で所得税がかかります。
一方、申告分離課税は、総合課税とは別に計算され、税率も異なります。たとえば株式の売却益の場合、所得税の税率は一律で15%に定められています。
ここで、「総合課税の税率は5%になる可能性もあるから、総合課税のほうが有利になる場合もあるのでは?」と思われたかもしれません。しかし、現役世代の収入であれば、税率が5%になることはあまり考えられません。
たとえば、1年間の給与所得が500万円、所得控除が150万円という人のケースで考えてみましょう。この人の場合、給与所得だけでもすでに所得税の税率が20%になっています。ということは、この人がビットコインでさらなる所得を得た場合、ビットコインにかかる税率はかならず20%以上になります。
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