特定口座の株式売却損。申告するしない、どっちが得?
正解:申告すれば、翌年以後の節税になる可能性あり
株式を売却して利益を得ると、分離譲渡所得として所得税と住民税がかかります。この所得については、確定申告をするかどうかを、納税者がみずから判断できます。
言い換えれば、「確定申告をしたほうがトクなのか?」ということを判断する必要があるということです。
この判断のポイントをお話しする前に、証券口座の3タイプについて説明しておきましょう。株式の売買をするには、あらかじめ証券会社で口座を開設することになります。このときに選べる口座のパターンが以下の3つです。
①特定口座(源泉徴収あり)
②特定口座(源泉徴収なし)
③一般口座
このうち、②と③を選んだ場合は、株式の売却損益が出た場合に確定申告をする必要がありますが、①の場合はあらかじめ税額が源泉徴収されているので、確定申告をせずに済ませることができます。
そのため、「確定申告をする」「確定申告をしない」を、その時々の状況によって選択できる①を選ぶのが合理的です。
つぎに、特定口座(源泉徴収あり)を選んだ場合でも、確定申告をしたほうがいいケースについて説明します。
ひとつは、「複数の証券口座があり、その一部で損失が出ている」というケース。たとえば、A証券の口座では1年間で100万円の利益が出て、B証券の口座では1年間で10万円の損をしたとします。この場合、それぞれ特定口座(源泉徴収あり)であれば、A証券は利益100万円に対する税金が源泉徴収されますが、B証券は損失ですから税金の源泉徴収はなされません。
こうした状況で確定申告をすると、A証券の利益とB証券の損失を合算することができます。つまり、100万円-10万円=90万円の所得として税金が再計算され、A証券で源泉徴収されていた所得税の一部が還付金として戻ってくることになります。