「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

特定口座の株式売却損。申告するしない、どっちが得?

正解:申告すれば、翌年以後の節税になる可能性あり

 

株式を売却して利益を得ると、分離譲渡所得として所得税と住民税がかかります。この所得については、確定申告をするかどうかを、納税者がみずから判断できます。

 

言い換えれば、「確定申告をしたほうがトクなのか?」ということを判断する必要があるということです。

 

「確定申告をする」「確定申告をしない」を、その時々の状況によって選択できる特定口座(源泉徴収あり)を選ぶのがいいという。(※写真はイメージです/PIXTA)
「確定申告をする」「確定申告をしない」を、その時々の状況によって選択できる特定口座(源泉徴収あり)を選ぶのがいいという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

この判断のポイントをお話しする前に、証券口座の3タイプについて説明しておきましょう。株式の売買をするには、あらかじめ証券会社で口座を開設することになります。このときに選べる口座のパターンが以下の3つです。

 

①特定口座(源泉徴収あり)
②特定口座(源泉徴収なし)
③一般口座

 

このうち、②と③を選んだ場合は、株式の売却損益が出た場合に確定申告をする必要がありますが、①の場合はあらかじめ税額が源泉徴収されているので、確定申告をせずに済ませることができます。

 

そのため、「確定申告をする」「確定申告をしない」を、その時々の状況によって選択できる①を選ぶのが合理的です。

 

つぎに、特定口座(源泉徴収あり)を選んだ場合でも、確定申告をしたほうがいいケースについて説明します。

 

ひとつは、「複数の証券口座があり、その一部で損失が出ている」というケース。たとえば、A証券の口座では1年間で100万円の利益が出て、B証券の口座では1年間で10万円の損をしたとします。この場合、それぞれ特定口座(源泉徴収あり)であれば、A証券は利益100万円に対する税金が源泉徴収されますが、B証券は損失ですから税金の源泉徴収はなされません。

 

こうした状況で確定申告をすると、A証券の利益とB証券の損失を合算することができます。つまり、100万円-10万円=90万円の所得として税金が再計算され、A証券で源泉徴収されていた所得税の一部が還付金として戻ってくることになります。

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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