2020年12月分景気動向指数(速報値)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差▲1.2で7ヵ月ぶりの下降、一致CIは▲1.2と2ヵ月連続の下降

基調判断「下げ止まり」継続。緊急事態宣言再発動された1月で上方修正の可能性

 

 

 

●12月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲1.2と7ヵ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の3系列が前月差プラス寄与度に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差マイナス寄与度になった。

 

●12月分の一致CIは前月差▲1.2と2ヵ月連続の下降になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、商業販売額指数・卸売業1系列が前月差寄与度プラスに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、輸出数量指数の6系列が前月差寄与度マイナス、有効求人倍率1系列が前月差寄与度▲0.00になった。

 

●一致CIの3ヵ月後方移動平均は前月差+1.00ポイント上昇し、6ヵ月連続の上昇になった。7ヵ月後方移動平均は前月差+2.30ポイント上昇し、3ヵ月連続の上昇になった。

 

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、19年8月分~20年7月分は「悪化」の判断だったが、景気の基調判断は8月分で19年5月分~7月分以来13ヵ月ぶりの「下げ止まり」に上方修正された。9月分に続き前回10月分でも「下げ止まり」で据え置きになった。10月分の前月差は上昇したが、7ヵ月後方移動平均の前月差が小幅の上昇にとどまったからだ。11月分と今回12月分はともに、7ヵ月後方移動平均の前月差の振幅は大きく条件を満たしたが、一致CI前月差が下降になってしまった。

 

●「下げ止まり」から、事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す「上方への局面変化」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの7ヵ月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、プラス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差分以上振幅目安の+0.76以上になることが必要だ。一致CIが0.1でも上昇になれば、7ヵ月後方移動平均(前月差)は十分条件を満たしているので、景気判断が上方修正されることになろう。

 

●1月分の製造工業予測指数は電子部品・デバイス工業などが寄与し前月比+8.9%の大幅上昇の見込みである。過去のパターン等で製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値をみると、1月分の前月比は先行き試算値最頻値で+4.4%になる見込みである。90%の確率に収まる範囲は+2.7%~+6.1%の上昇になっている。1月は11都府県に緊急事態宣言が再発令された月だが、生産関連の指標が多く採用されている一致CIは、製造工業生産予測指数からみて生産指数の前月差上昇が見込まれるため前月差が上昇に戻る可能性が大きい。

 

●12月分の先行DIは66.7%と6ヵ月連続、景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数の3系列がマイナス符号になった。

 

●12月分の一致DIは87.5%と6ヵ月連続、景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の7系列がプラス符号になると、耐久消費財出荷指数1系列がマイナス符号になった。

 

 

●2月25日発表予定の12月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は2月17日である。また在庫率関連データが2月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●12月分景気動向指数・改訂値で、一致CIには所定外労働時間指数が新たに加わる。11月分速報値の発表日は2月9日で、確報値の発表日は2月24日、25日発表の景気動向指数・改訂値では確報値が使われよう。生産指数関連データが2月15日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが2月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●1月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数、東証株価指数の2系列が前月差プラス、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列が前月差マイナスである。

 

●また、1月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、日経商品指数、東証株価指数の2系列がプラス符号に、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列がマイナス符号になることが判明している。1月分速報値段階の先行DIは22.2%以上77.8%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年12月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2021年2月5日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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