・遺言書作成の約半年前
「落ち着きなく,自宅へ電話するといい自宅に電話する。電話つながるも家族と話しがかみあわず。電話終了し,部屋へ戻る。」
「ホテルのお支払いしないと。お金1銭もないから。」
「失見当著明」
・遺言書作成の約10日後
「本人は毎回入院していることを理解せず,帰宅を希望する。」
「現在,救急車で来院されたこと覚えていない。」
「デメンツ強く,いった事を,すぐ忘れてしまう。」
「何度も同じ話を繰り返す等あるが,不穏行動なくNSステーションにて表情穏やかに過される。」
「失見当著明。」
「失見当識著明にて明日退院。」
この裁判例は、上記のような診療録又は看護記録の記載のみから、遺言無効と判断をしています。長谷川式簡易スケールの結果や介護認定の結果、服薬等の事情は一切考慮されてはいません。
この裁判例は、診療録又は看護記録の記載を丁寧に拾い上げることで遺言書の無効が主張できるということを示す一例と言えます。
※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所弁護士
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