日本人にとってアートは「一部の愛好家のもの」という認識が強くあります。一方世界、特に欧米では、絵画をはじめとするアート作品は実物資産として富裕層を中心に身近な存在です。またグローバル企業のなかにはアートで美意識を磨き仕事に活かすという流れがあり、富裕層のみならず、一般層にもアートの興味・関心は広がりつつあります。本連載ではShinwa Auction株式会社の高井彩氏が、アートを身近に感じることのできる美術館や展覧会をレビュー。見所や展示されているアートの市場価値などを紹介していきます。今回取り上げるのは、ストリートアーティストで有名な「Invader(インベーダー)」。

版画作品の「オークション価格」…大きく伸びて落札

日本のアートマーケットでは、Invaderの版画作品が流通し、定着しています。そして、直近の国内オークションでは次のような結果となり、いずれもエスティメイトの下限価格よりも大きく伸びて落札されています。

 

《Sea of slime》

(スクリーンプリント/シート:縦49.4×横34.5cm/2014年作)
ドラゴンクエストのキャラクター、スライムをモデルにした作品
セール日:2021年1月29日
オークションハウス; SBI Art Auction
エスティメイト:35万円~55万円
落札価格:115万円(Premium込)

 

《Still Life With Pocari Can》

(スクリーンプリント/シート:縦35.0×横50.0cm/2014年作)
赤いインベーダー、青りんご、ポカリスエットの缶が横並びになった作品
セール日:2021年1月29日
オークションハウス;SBI Art Auction
エスティメイト:35万円~55万円
落札価格:111.55万円(Premium込)

 

《Kung Fu Print》

(スクリーンプリント/シート:縦54.5.×54.5cm/2015年作)
白いトップスに紺のズボン、赤い帯を締めてキックをする男性が描かれている。モデルは恐らくブルース・リー
セール日:2021年1月29日
オークションハウス;SBI Art Auction
エスティメイト:30万~50万円
落札価格:155.25万円(Premium込)

 

なお、3番目の《Kung Fu Print》は、1月26日にSotheby's Hong Kongでも同作品のエディション違いが出品され、エスティメイト8,000~16,000HKD(約11万円~21万円)に対して、126,000HKD(約170万円)で落札されました。

 

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