日本人にとってアートは「一部の愛好家のもの」という認識が強くあります。一方世界、特に欧米では、絵画をはじめとするアート作品は実物資産として富裕層を中心に身近な存在です。またグローバル企業のなかにはアートで美意識を磨き仕事に活かすという流れがあり、富裕層のみならず、一般層にもアートの興味・関心は広がりつつあります。本連載ではShinwa Auction株式会社の高井彩氏が、アートを身近に感じることのできる美術館や展覧会をレビュー。見所や展示されているアートの市場価値などを紹介していきます。今回取り上げるのは、戦後の具象絵画の代表的な画家「ベルナール・ビュフェ」。

ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代

渋谷駅より道玄坂方面へ徒歩10分。Bunkamura ザ・ミュージアムにて「ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代」が開催中です。「ベルナール・ビュフェ美術館」の所蔵品より約80点を通して画家の生涯を振り返ります。

 

「ベルナール・ビュフェ美術館」は、銀行家・岡野喜一郎氏(1917-95)によって、静岡・駿東に設立された、ベルナール・ビュフェに特化した美術館です。開館は1973年、本館は菊竹清訓氏の設計で、高さ12メートルの吹き抜け空間を持ち、ビュフェの大作群をたっぷりとしたスペースで楽しむことができます(ビュフェは縦280cm×横500cmなどの大型作品を数多く残しています)。

 

1988、1996年には展示室を増設。現在では油彩、水彩、デッサン、版画、ポスター、挿絵本など、2,000点以上を所蔵し、常時100点以上を展示、その画業を一覧することができます。

 

1980年にはビュフェの初来日を実現しており、日本とビュフェの懸け橋となった重要な美術館です(来日後、ビュフェは力士や東京タワーといった日本の文化・風景をモチーフとした作品を残しています)。

 

美術館は「クレマチスの丘」内にあり、四季折々のクレマチスの花が咲く庭園や、ヴァンジ彫刻庭園美術館、ビュフェこども美術館(現在はコロナウイルス感染予防のため一時休館)が併設、アートと自然を1日たっぷりと楽しむことができます。

 

会場入口風景。右の赤いピエロが後述の作品《ピエロの顔》(キャンバス・油彩/縦100×横81cm/1961年作)(著者撮影)
会場入口風景。右の赤いピエロが後述の作品《ピエロの顔》(キャンバス・油彩/縦100×横81cm/1961年作)(著者撮影)
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