日本人にとってアートは「一部の愛好家のもの」という認識が強くあります。一方世界、特に欧米では、絵画をはじめとするアート作品は実物資産として富裕層を中心に身近な存在です。またグローバル企業のなかにはアートで美意識を磨き仕事に活かすという流れがあり、富裕層のみならず、一般層にもアートの興味・関心は広がりつつあります。本連載ではShinwa Auction株式会社の高井彩氏が、アートを身近に感じることのできる美術館や展覧会をレビュー。見所や展示されているアートの市場価値などを紹介していきます。今回取り上げるのは、ストリートアーティストで有名な「Invader(インベーダー)」。

インベーダーの作品…「ドット絵」のモザイクが特徴

冒頭で紹介したフランス出身のアーティストである「Invader(インベーダー)」(1969~)は、8bitのビデオゲームの「ドット絵」をモデルとしたモザイクで知られています。あらためて、Invaderがかいた渋谷のアトム絵をご覧ください。

 
渋谷アトムの拡大。正方形のタイルを並べて8bit風にキャラクターが描かれている(筆者撮影)
渋谷アトムの拡大。正方形のタイルを並べて8bit風にキャラクターが描かれている(筆者撮影)

 

また、こちらは、恵比寿駅付近にかかれた白いインベーダーです。

 

恵比寿駅付近にある白いインベーダー。古い2階建ての建物側面のブロック塀に残されている(筆者撮影)
恵比寿駅付近にある白いインベーダー。古い2階建ての建物側面のブロック塀に残されている(筆者撮影)


モザイクは、正方形のセラミックタイルを組み合わせて制作され、街中の公共物や建物の外壁に直接貼り付けられています。Invaderは、École des Beaux-Arts(エコール・デ・ボザール)という美術学校を卒業後、1990年代にパリにて活動をスタートしました。

 

以降、活動は33ヵ国79都市に広がっており、全世界に3962個、東京には138個のモザイクがあることが発表されています。もちろん、138個のなかには現在見ることができないものも多く、たとえば渋谷警察署近辺に設置されたモザイクは、撤去されています。

 

なお、Invaderの公式サイトでは、彼がモザイクを残した都市にマークを付けたマップと風景写真が公開されています。

 

また、世界中に散らばる彼のモザイクを楽しむためのGPSを利用したアプリ「FLASH INVADERS」も公開されています(下記画像参照)。

 

「FLASH INVADERS」のプレイ画面。照準を合わせて撮影すると、データベースと照合されポイントが入る。アトムは100ポイント、恵比寿駅付近の白いインベーダーは50ポイントだった(筆者撮影)
「FLASH INVADERS」のプレイ画面。照準を合わせて撮影すると、データベースと照合されポイントが入る。アトムは100ポイント、恵比寿駅付近の白いインベーダーは50ポイントだった(筆者撮影)

 

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