ノルマのためには手段を選ばない営業マンが多くいる不動産業界。マンション・アパートでの「相続対策」が本当に必要なものなのかや、子供にとって得になるのかを解説します。

家族の絆にひびが入るのはこんなところから

要注意トーク2「賃貸アパートを建てると、これだけ相続税評価が減額されます」

 

賃貸アパート建築を勧める営業トークで主にフォーカスされる内容が、相続税評価減の割合です。

 

不動産は額面通りの評価となる現金と違い、相続税評価に関しては時価ではなく、毎年7月に発表される「路線価」(公示価格の約80%)をもとに算出され、用途や形状によって評価減できるのが特徴です。賃貸物件を建てる際の評価減のポイントは大きく3つあります。

 

①賃貸物件を建てると、その敷地は貸家建付地として約20%、評価額を圧縮できる

②土地上に計画した新築建物の評価は、約60%、評価減になる

③借り入れをした際は、その分の債務控除ができる

 

そこで、相続税評価額が大幅減となる図式[図表1]などを見せつつ、

 

図1
[図表1]

 

「3億円を現金で持っていると、3億円の評価のままですよね。しかし、土地の場合、そこに5億円の借り入れをし、賃貸マンションを建てると、土地の評価は貸家建付地として約20%減り、約2億4000万円になります。建物も、固定資産税評価と貸家権控除などにより、約2億1000万円ほどになります。しかもマンション購入の際の借入額を債務控除できますので、評価額はマイナスとなり、相続税0円が実現できるわけです」

 

といった具合にトークを展開するわけです。

 

借り入れをし、賃貸アパートを建てるだけで、こんなに相続税評価額が圧縮されるとは―何とも魅力的な話です。

 

もちろん、この内容自体には、何のウソもありません。

 

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本記事は2016年10月刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の税制や税務調査とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

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