嘘はないけど裏はある
しかし、見落としがちな大きな落とし穴があります。それは、相続税の節税効果が年々薄れていくということです。
返済が進んでいくと、借入残高(マイナス資産)は減少しますが、建物評価は借入残高ほど大きく下がりません。一方、収益は蓄積されていきますので、この超低金利下にあっては、概ね15~20年の間に、債務超過は解消されてしまいます。ましてや、収益が蓄積されていくとなれば効果がゼロどころかプラスに転じてしまいます[図表2]。
つまり、節税効果だけを見れば、建築した当初が一番効果があるわけです。
言い方は悪いですが、アパートが完成した瞬間に亡くなってもらうのがベストという意味で、「早く死んでください」と言っているようなものなのです。
なんと悲しい相続対策でしょうか。私が、この手法を「愛のない相続対策」と呼んでいるのはそれゆえです。
無論、こうした事実もしっかり説明した上で、収益が上がってきた時点で、効率的に収益を分散するまでのアドバイス、サポートを実践しているならば、問題はありません。私の会社では、債務控除の節税効果が薄れてきた物件については、次の新たなる手を必ず提案しています。しかし、住宅メーカーは「建物を建てる」までがビジネスであり、その後の経営や相続対策まではフォローしてくれません。
その意味でも、やはり「愛のない相続対策」と言わざるをえないのです。
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